復活編 「へフナー500/1’61を入手」 

 
 ギブソンJ160Eの1962年を購入した時・・・。
 私は本当は
へフナーの1961年製ベースが見たくて出かけていったということは既にご説明した通りである。
 
 しかし、その店のおっさんは
「ドラゴンアッシュ(!?)のベーシストが既に買っていった」
 などとわけのわからぬことをいい、いたいけな私にJ160Eを売りつけたのである。
 なんでやねん?

 それからもうずいぶん経つが、
 「もう1961年製のヘフナーなんて手に入らない。」と諦めていた。

 ところが、である。
 2004年の暮れ、
1961年型のへフナーが売りに出たのである!!

 これがどれくらいレアな出来事であるかは、
 ちょいと楽器に詳しい方ならお分かりだろう。
 きっと持ち主の人は身を切られるような思いで売りに出したに違いない。
 
 そのベースは、以前に(平成10年)、
 シンコーミュージックから出版された
「エレキ・ギター・ブック2」
 へフナー・マニアとして掲載された東京のS氏という人の放出品だ。
 (この方の所有のもう一本のベースはネットでも売りに出されていた
  …みんな売ってしまわれたのだろうか・・・)

 1961年型、と一口に言うが、
 実は1年で死ぬほど仕様変更されているので難しい。

 1960年末期から、いわゆる
「ダイヤモンド・ロゴ・ピックアップ」
 
(へフナー社製のハムバッカータイプのピックアップ)が搭載される。

 1961年中期、ボディー・バックがフラットから
ラウンドに変更される。
  ※同時期に、ボディートップが単板からラミネート板に変更。

 1961年中期から末期、ヘッドのロゴが下に下がり始める。
 (ポールのは中間って感じです。)

 1961年末期、ロゴが
縦ロゴから横デカール・ロゴに変更される。

 1961年末期、ピックアップが離れ
ポール・ピースが追加される。
 (社外品「スーパーレスポンス」510型)
 ※ちなみに63年からは「ノバ・ソニック」511型に変更。

 興味の無い方には
「なにそれ?」だろう。
 まあ気にしないでいただきたい。

 ポールの1961年型は4月ごろ、
 ドイツ・ハンブルグ巡業中に購入したのだが、
 「ダイヤモンドロゴ」「フラットバック」仕様であった。
 これを元にして、現在のキャバーンベース・リイシューが作られたのである。
 もしこれとドンズバならば・・・
 現在では
200万円は下らないであろう。
 ドイツ製廉価版ベースの末路としては、とてつもないことだ。

 今回の出物は、1961年中期、(ポットデート311=61年31週)、
 ボディーがラウンドバックになって以降のものだ。
 また、ネックの塗装がブラックなのだ。

(当時、ネックの傷・木目などで問題アリの場合、目潰しに黒を塗ることがよくあったらしい…)
 
 さて、どうするか…。知ってしまった以上、一目も見ないで他人に買われてしまうのはなんとも惜しい。
 とにかく見るだけ見に行こう…。まるで悪い魔法にでもかかったように、私はその楽器店に向かった。
 さて、実際にその楽器を弾いてみると…
「打ちのめされました。」
 
@サスティンが長い
  …へフナーの常識を覆す。指板のローズが厚いのも一因ではないか?
 
Aピックアップの出力が大
  …63年型と比較しても、3割り増しの音量である。
 
Bボディーが軽い
  …63年型と比較して…ませんが、明らかに軽いです。材のせい?
 これなら、歌いながらベースを弾かなければならない私にとって、
右手の負担が激減することは間違いないぞ!
 右手に力を入れなくてもこんだけ「ブンブン」いうんだから。
 ああ、どうしよう…それに思ったよりもだいぶ安いぞ!!
 しかし…頭金も無いのにまたローンかよ!毎月の小遣いを頭の中で計算して…ブツブツ…
 
 迷うこと2時間。

 買いました。
 
 5年払いです(笑)。
 (でも、10年経っても売る気は無いんだから、貯金したと思って払えばいいや。)
 今回は、持ち主の
「委託品」(値段を持ち主が決める)で無いので、
 値引きも出来たのがラッキーでした。
 もはや人生に次の楽器購入は無いと思っていたが…死者が地獄からよみがえったのである。
 ゾンビ…いや、私の顔からいえば、どちらかというと「
キョンシー」である…。


Hofner500-1 (Very Close to Original Cavern Bass)
('61 Van Wouw Serial No.4072)

 1961年当時はまだセルマーがイギリスに500/1を正式に輸入していなかったので、いつものセルマーbヘ打たれておりません。その替わりに、オランダなどヨーロッパで楽器販売をしていたVanWouw社の打ったシリアルがヘッド上面に「4072」と打たれています。

 さらに、ミラーを使ってボディーデートを調べてみたら、26 Sep 1961でした。1961年9月26日生まれです。

 以前に海外のHPで見た1961年製キャバーン・ベースで、フラット・バックのものが「3351」番でした。この後に仕様変更がなされたのでしょう。どのような通し番号で打たれたのかがわかりません。そんなに本数をたくさん作っていた時期ではないと思います。へフナーが大量生産に踏み切るのは1964年からです。それまでは少数の楽器を手作業で仕上げていたと考えられます。そのせいでしょうか?この61年型もかなりしっかりした作りだと感じます。

 ペグ穴は、61年前期にはもっと上に寄って空けられていました。
 ポールのヘッドは前期よりもやや下よりに付いています。(スペードマークの頭が見える程度
 私の楽器はもはやスペードマークがかろうじて見える程度ですので、かなり下がった時期だといえます。
 ものによってはスペードが完全にトラスロッドカバーに隠れていますので、時期(あるいは固体)によってかなり差があったと思います。

ネック裏はブラック塗装です。

 また、ブラジリアンローズウッドの指板の厚さは
約6ミリ!厚いっす。63年で約4ミリです。キャバーンリイッシューは計ったら甘く見て3.5ミリ。この当時は材料をケチってませんね!
 たぶんこの
指板がロングサスティーンを生んでいると思います。

 これが所謂「ダイヤモンドロゴPU」。渋い輝きです。
 こいつはかなりの高出力PUです!音もカリカリです。
 ブリッジ側のPUを何で真ん中に?と昔は謎に思いましたが、逆に言うと、「ブリッジ位置では音が硬すぎて使えない」と判断されたのかも知れません。
 63年型の「NovaSonic」はこんなに音も硬くないですし、出力もマイルドなので、充分ブリッジ前で使えます。

 テールピースは基本的には63年型に近いですが、弦を止める四角形の部分が細いのです。その分、全長も短いです。(バーの部分は同じ長さ)

 ポールの61年型の写真も見てみましたが、やはり細型ですね。
 いつから現在の太さになったのだろう?たぶん1962年ごろだと思いますが…。
 テールピースなどは、振動などの関係で楽器の音色に大きく関与していると思うのですが…はたしてどのように違いがあるのかは、今のところわかりません。
 
ちなみに楽器自体の重量ですが、1963年型がおよそ2.2キログラムに対し、1961年型が2.0キログラム。
200グラムは軽いです

 キャバーンリイシューも約2.2キロでした。ちょっとの差ですが、手に持った瞬間の感覚は「軽いな!」とはっきりわかりますよ! 

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