狂気編「Rickenbacker 325 ’64」を購入の巻

2016年の2月末。
いつものビートル楽器店DearPrudence様に、
レアな楽器の広告が出た。
RoseMorris1996である。
1964年、英国の楽器商、ローズモーリス社が、
ビートルズ人気の爆発による楽器販売の拡大を狙って、
アメリカのリッケンバッカー社に注文を出し、
輸入した楽器をそう呼ぶのである。
 ※ちなみに私の4001sも同様の経緯をたどったもので、
  ローズモーリス1999と呼ばれる。

その生産数の少なさから、
激レア楽器となっている1964年の325であるので、
値段ももはや
「スカイロケット」と言われている。
調べてみると、
この楽器は以前(2013年4月)にテキサスのオークションで落札され、
その後日本に持ち込まれ、
2013年の9月ごろにいったんDP店でも売りに出されていたことが分かった。
…ていうか、自分でもそれをブログに書いていた(笑)

その時には売れずに残り、
今回再び登場したというわけだ。
前回手に入れた64年テネシアンの支払いも終わったところなので、
ちょっと見るだけ…と思い久しぶりの東京に出かけてみる。


さて、楽器店について、オーナーのM様と久々の対面。
懐かしい話などをしながら、しばし談笑。
と、その間に1996君もケースから出されて仲間入り。

これはきれいな個体である。
シリアルナンバーはDD369。
1964年の4月生産である。
ネックの裏側はあの薄い塗装面がやや薄れてきてはいるが、
全体として褪色しやすい赤い色が濃く残っている。
ネックもストレート。
2本のトラスロッドもまだほとんど締められていない。
 ※ショートスケールでテンションが低いせいか。

 ボディーも薄くて軽く、ネックはとてもスリムで弾きやすい。

 さっそくアンプに通して音を出させていただく。

 ピックアップは珍しい「トランジション」トースター。RoseMorris社が発注した当時、古いボビンの金型が破損し、新しい金型を作って生産するまでの数か月の間、構造がやや違うピックアップを使うことになったのだが、それがこのトランジションピックアップである。出力もあり、なかなか力強い音を発する。

 Fホールがあるせいか、生鳴りもなかなか大きいし、ボディーに伝わる弦の振動も心地よい。

これはなかなか出会えないブツである。

…迷うこと約1時間。
決めました(爆)

今回もまたお決まりの60回払いコースを選択。
しっかりと契約をし、
この子を家に連れて帰ることになった。
もはや、これが最後と決意して買ったテネシアンであったがwww
さらにこんな狂気の沙汰を演じてしまう辺りが、
oyoyoがoyoyoたるゆえんである。

これで、
RoseMorris1999(4001s)と1996(325)の、
ビートルズ版”ローズ・モーリス・ペア”が完成である!


1964 Rickenbacker 325 (Rose Morris 1996) Serial Number #DD369


 
 特徴的なヘッドストック。
 いわゆる1964年仕様の「スリムヘッド」。
 トラスロッドカバーの、Rickenbackerの「n」の文字の、
最後が流れるようにつながる、いわゆる
「流れn」のオリジナル。
 ※Vシリーズではこのnがまっすぐになってしまっていた…残念!
 もともとついていたシングルラインのクルーソンがやれ過ぎていて、
チューニングに不安が出てきたので、
 もう少し程度の良いシングルラインのセットをおフランスで発見し、
交換しました。これで一安心。
 その時に、
安い「プレス」のブッシュが付いていたのを外し、
このより安定するブッシュに変えました。
 これで見た目も限りなくジョンの325の仕様に近づきました。

 右

 これがいわゆる、
「Transition pickup」
1964年初期までは、
この黒い部分の両端に、
丸い「ディンプル=えくぼ」
が形成された金型でしたが、
それが破損してしまい、
次の金型にはそのディンプルが無くなりました。

 その金型と金型の間に、
普通のトースターとは構造がことなるピックアップを使用することになったわけです。
それがこのピックアップ。

見た目は普通のものと同じですが、
分解すると、この黒い部分がボビンではなく、ボビンの上にかぶさるカバーだということがわかります。通常のボビンが生産できないため、インジェクションモールドで形成したカバーを、ボビンの上にかぶせるという方法を取ったのでしょう。
 なかなか良い音を出すピックアップであります。

 左 
 アクセントビブラートのプレートには、
 定番の「PAT PEND」刻印。
 ジョンの325にもこれがありますわ。
 そして、テフロンワッシャーと、
 側面がふさがれている点もこの時期の特徴。
 vシリーズでは再現されませなんだ。
 こういう細かいところまで、再現するには、莫大なコストがかかってしまうものと思われます。売れるギターを作るには妥協も必要…悲しいわい。

 












ジャックプレートはなぜか上下逆さまに。
 あとで治しましたけど。

 D=1964年
 D=4月
 369…何本目か
 と言われていますが、
 番号は怪しいもんで、
 ※私のベースがDK578。
 11月までに、209本しか作らなかったとすると、ひと月に約30本程度の制作本数に。一日1本しか仕上がらないとするとかなりな少数生産www。
 課税されないように、少な目に申告していた説が有力で、月を変えて同じ番号を使いまわした可能性もありますです。


このギターのTopicsはこちらから。


Back Top Next