PCS3075「Rubber Soul(Stereo)」の巻
 
"Rubber Soul"
Release:December 3rd,1965

Matrix No.:YEX178-2/YEX179-2
Stamper/Mother No.:T(9)/4, RG(21)/3
Weight :150g
Tax Code:KT
Jacket: Garrod & Lofthouse Ltd.

Matrix No.:YEX178-3/YEX179-3
Stamper/Mother No.:O(5)/?, A(3)/2
Weight :155g
Tax Code:KT
Jacket: Garrod & Lofthouse Ltd.

 前作「ヘルプ!」で多重録音の味を知ってしまったポールは、このアルバムでも4トラレコーダーによる録音を駆使し、すばらしい活躍を見せる。

 ・・・のだが、まあそんな内容はさておき、「ヘルプ!」との大きな違いをあげるとすれば、独特な
「ラバーソウル音像」の多用であろう。
 簡単にいうと、
「昔のステレオ盤に逆戻り(笑)」的音の配置なのである。
 右チャンネルは基本的にボーカルとリード楽器、左チャンネルにベーシックトラックとコーラス、という、極端な左右分離が試みられているのだ。
 なぜ「ヘルプ!」ではボーカルを中央に置く自然な感じのステレオ音像をしておきながら、ラバーソウルではいわば逆行するようなことをしたのか。はなはだなぞの部分ではあるが、もしかしたら「メンバー/エンジニアの好み」の問題だったのかも知れない。あるいは、
「録音スケジュールがぎりぎりまでかかったため」手の込んだステレオミックスが出来なかった為かもしれない。なぜなら、セッション初期に行った録音ではもうすこしきめ細かいミックスも行われているからである。

 さて、それ以外にも録音/編集の工夫は以下のような点が上げられるだろう。
①「ヘルプ!」から始まったポール君の「でしゃばり」(笑)行動。
 →今回はギターソロにスライド奏法を導入(DriveMyCar,RunForYourLife)
 →さらにジョージの「ThinkForYourself」では「ファズ・ベース」まで登場!
 →ピアノも多数弾き出して、もはやだれも彼を止められない!!
 このポールのエネルギーが、後の名作「サージェント~」につながっていくのである。
②ジョンの「いぶし銀」の活躍
 ・・・ポールほど目立ちはしないが、実は楽曲だけではなく、演奏面でもすごさがある。
 →J160Eを用いた、アコースティック・リズム・ギターの集大成(HoneyDon't,RunForYourLifeなど)
 →ストラトキャスターを用いた、新しいエレクトリックサウンドの確立。
 →12弦アコースティック(フラマス)の上手な活用
 ・・・こう考えてくると、ジョージの功績が小さいように思われるかもしれないが、「恋をするなら」は名作である。
編集上では
③EQ(イコライザー)操作による、「1トラックを2トラック分に聞かせる作戦」の確立
 →たとえば、両チャンネルに同じ音を入れながらも、右チャンネルからは高音域だけを強調して出し、同じ音の低音域だけを左チャンネルから出す。
   こうすることで、「ヴァーチャル2トラック化」が出来たのである。この手法はこの後、多用されて行く。
このように、録音方法でも「新しい水準」に達したのがこのアルバムだったといえるであろう。

レーベルの変遷については、以下のようである。


タイプ1-A 字体がTNR(ローマン)字体のもの。(この写真のタイプ)
    1-B 字体がサンセリフ字体になったもので、「Noweigian~」と「i」が余計に付いたもの。
    1-C 字体がサンセリフに戻り、ミスプリントが直されたもの。
   
1‐D 曲目後ろの「*」マークが隙間の開いたもの。
1969年になると「SOLD In UK~」(リマーク)がなくなる。

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