PMC1267「"RUBBER SOUL"(mono)」の巻
 

"Rubber Soul"
Release:December 3rd,1965

Matrix No.:XEX579-1/XEX580-1
Stamper/Mother No.:LG(81)/5 HP(76)/3
Weight :180g
Tax Code:KT
Jacket: Garrod & Lofthouse Ltd Patents Pending
(12 LL)

Matrix No,:XEX579-1/XEX580-1
Stamper/Mother No,:MG(41)4/ PA(63)5
Weight: 160g
Tax Code: KT
Jacket: Ernest J.Day & Co.Ltd London
(6512 LL)

 いよいよ私の「フェイバリット・アルバム」の登場である。
 それまでの、
「どこと無くアイドルっぽい」雰囲気から脱出し、いよいよアーティスト然となったアルバムともいえましょう。
 曲もすごい曲ぞろいです。
 ジョン・レノンは「I'm A Loser」「Help!」から始まった内省傾向を一気に加速させ、
「一人ぼっちのあいつ」「イン・マイ・ライフ」を書き、さらに「ノルウェイの森」「ガール」浮気を告白(笑)、「The Word」「Run For Your Life」ではシンプル・イズ・ベストな一面を見せてくれます。
 かたや、才能爆発のポール君は
「Drive My Car」「You Won't See Me」「Michelle」「I'm Looking Through You」など、体験と虚構をうまく取り混ぜた名曲を生み出します。
 アレンジも、シャンソン風からブルース調まで幅広く採用、そしてとうとうシタールまで登場なのです。
 ジョージも
「Think For Yourself」「If I Needed Someone」でまた2曲当選。がんばってます。しかも、「恋をするなら」は名曲ですよね。
 この幅広さ、そして、「サージェント~」につながる創作意欲の爆発と、まだ荒削りな未完成っぽさが、私が大好きな理由かも知れません。
・・・というか、「一人ぼっちのあいつ」が入っているだけでも一番のお気に入りになったかもしれません(笑)。

 この「マトリックス1」はいわゆる
「ラウド・カット」と呼ばれるレコードです。
 この時期、ポール御大は「More Bass」(もっとベースを効かせろ!)症候群に陥っていたはずで(笑)
 →その後、このお方は「ベース後録方式」を開発してしまいますが・・・。
 その結果として、まずは限界までベースを強調したミックスをつくり、カッティング段階でリミッターで調節しようとしたでしょう。もちろん、カッティングの技師も、そのような指示を受けながらまずは限界まで音溝を大きくカットしてみたでしょう。=マトリックス1
 ところが、現代の高品質なオーディオで聴けばこそ「ダイナミック」に聴こえるそのカットは、
貧弱な再生装置では「濁った=歪んだ低音」「やたらと耳につくヴォーカル」と認識され、「これでは返品されかねない」と判断されたのでしょう。
 そこで、新たにカッティングをしなおし、(マト2、マト3は使用されず?)マト4で再度プレスされたということでしょう。
 その入れ替えは一気に起こったというより過渡的に行われたため、マト1とマト4が片面ずつ存在する盤もあります。
 最近では「希少盤」ということで値段が高めに設定されていますが、私の盤を見る限り、スタンパー番号も2桁と、初期の段階でもかなりたくさんプレスされたのではないか、と私は思います。私のものはスタンパー番号81番までありますから、少ないとはいえ、交換前にそれなりの数をプレスしていたはずです。 


 レーベルの変遷については諸説ありますが、以下のような感じです。
タイプ1-A・・・「サン=セリフ字体」のもの。(マトリックス1のごく初期のもの)
    1-B・・・「TNR(ローマン字体)」タイプ。=後期マト1(一時的にタイプAとBが平行して使われた模様。)や、「片面マト1」に多い。
    1-C・・・字体が「サン-=セリフ」字体に戻ったもの。マト4、マト5に多い。曲名の間隔が広い。1966年製造のものか。
 1969年になると、
PARLOPHONEの下の「SOLD IN U.K.~」表示(いわゆるリマーク)がなくなります。
 
 こんなレコードですが、最近の市価は4万円近い・・・高すぎです。
 しかし、「UKオリジナル」を収集するに当たっては避けては通れない壁といいましょうか。ぜひ手に入れなければならぬ「マストアイテム」化しているのも事実。
 さあ、みんなで「ラウドカット地獄」に陥りましょう!!(笑)