PCS3045「"With The Beatles"(stereo)」の巻
 
"With The Beatles"
Release:November 22nd,1963

Matrix No.:YEX110-2/YEX111-2
Stamper/Mother No.:GO(15)/3 A(3)/1
Weight :163g
Tax Code:Unknown
Jacket: Garrod&Lofthouse Ltd

 セカンド・アルバムにして、やっと「モノラル」と「ステレオ」の同時発売となった(笑)記念すべき一枚である。しかし、私のレコードを見る限りでは(1963年後半のプレスと考えている)、マザーナンバー、スタンパーナンバーともどもそれほど多く無いことなどからすると、これまた生産数はモノとは比較にならない少なさだったと考えられる。
 
 このアルバムで一番の違いのききどころは「Money」のイントロであろう。
 ステレオ盤に慣れている私は、初めてモノ盤を聴いたときには、
あまりの迫力の無さに一瞬頭の上に「?」マークが出たくらいである。

 どういう違いかというと、ステレオ盤ではイントロのピアノ演奏がやや激しく、ギターの音が重なってくるが、モノ版の方は、ピアノ演奏が大人しめで、ドラムスティックのカツカツという音がとても間抜けに聞こえたからである。記録によると、ジョージ・マーティンはこの曲の編集にかなりの時間=アルバム収録曲全曲分のミックスと同等の時間をかけたらしい(10月30日やり直し作業)。こだわった割には効果薄、といったところか(爆)。
 逆に、アルバム全体のミックスは(10月29日)、
14曲をたった3時間で作業したらしい(笑)。当時のステレオ盤軽視の態度、ここに極まれり、といったところか。

 このアルバムの収録曲のステレオとモノの主な違いを列挙してみると、
①「Till There Was You」・・・ステレオにはボンゴの追加演奏が入っていない。
②「It Won't Be Long」・・・ステレオは17テイクそのまま。モノはそれに第21テイクをつぎはぎしたもの。
③「Hold Me Tight」・・・ステレオとモノでは基本テイクは同じだが、コーラスと手拍子は別テイクを使用。

などなど、ほかにもいろいろあって結構楽しめるのである。

ところで、このレコのジャケットのように、初期のものはSTEREOの文字が大きく印字されているのだが、
これを
「Large Stereo」と呼んでいるのが通例である。
63年ものの「Please Please Me」も同じ大きさの文字が印刷されている。
大きさ的には横幅約59ミリ×縦(oの文字で)約8ミリ。

これが、「Hard Day's Night」になると、一気に横38ミリ×縦5ミリの
「middle stereo」に。
※「ヘルプ!」では同じサイズで白抜き、「ラバーソウル」ではジャケット表面に表示なし。

さらに「Revolver」では横23ミリ×縦4ミリの
「Small stereo」に。

私はその後の「ホワイト・アルバム」の裏に印字された横9ミリ×縦2ミリものを「micro stereo」と呼ぶことにした(笑)。

なぜこのような変遷をたどったのかは知らないが、
最終的には69年ごろにすべてのアルバムがステレオでしか発売されなくなり、
この「stereo」表示自体が消え去っていく運命なのである。


レーベルの変遷については、以下のようである。

タイプ1-A・・・B面で「YOU REALLY
GOTTA~」とミス、さらに「MONEY」出版がJobeteのもの。
      B・・・同じく「YOU REALLY GOTTA~」だが、出版社を「
Domion」と重ねてミススペル。
      C・・・「YOU REALLY GOT A~」と正されたが、出版社は「Domion」のまま。「Money」の出版社は「Dominion.Belinda(Ldn)Ltd.
NCB」(エラー)。
      D・・・上記の「Domion」が「Dominion」に修正。しかし、「Money」の出版はそのまま(私の入手したタイプ)
      E・・・すべてのエラーが直されたタイプ。
タイプ2・・・1964年2月以降で、「SOLD IN U.K.~」イ(リマーク)が入ったもの。

こう見ると、プレスされた期間が短い割には(大量生産で混乱が生じたのか)やたらとヴァリエイションが多いのがステレオ盤の特徴である。

オリジナル1963年盤を求めるならば、
タイプ1の中を見つければ確実である。


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