HZE 117「"DIE BEATLES"(mono)」の巻
 
"Die Beatles Die berühmten Vier Aus Liverpool"
 Release:February,1964

HZE117
Matrix No.:HZE117A-1/HZE117B-1

Rarer "Teldec" Press

ドイツ・オデオンと同じグラモフォン傘下のレーベル、HÖRZU
(正式には
ヘアツーとでも発音するのだろうが、ここではあえてヘルツと呼ぼう。)
テレビ雑誌を出版するなど多角的経営をしている企業らしいが、その会社が持っていたレコード用のレーベルと呼んでいいだろう。

ビートルズが1963年にドイツ正式デビューしたときに、きっと契約か何かで
「うちにもひと儲けさせてくれよ」
ということになったのではないだろうか。
すでにUKでは発売済みだった「プリーズ・プリーズ・ミー」の権利を手に入れ、
※と言っても同じグループ傘下なのだから何の問題もない。
それをリリースするにいたったのであろう。
発売時期をオデオンと微妙にずらしたのは、
もちろん
売るための戦略だったのだろう。

面白いのは、このドイツ式ジャケットである。
前回のオデオンは、写真はUK盤と共通にしながら、
上の帯の色を変えたり、ロゴを大きく入れたりして差異を出したのだが、
今回は完全に別デザインである。
あの有名な「ジョージ青あざ」写真を取り入れ、
(デゾ・ホフマン撮影)
写真のモノクロに対して大胆な色遣いのロゴたち。

副題の「Die berühmten Vier Aus Liverpool」とは、「リバプールから来た有名な4人組」という意味だ。
あのハンブルグはさておき、それ以外のドイツの地域では
わざわざ「有名な」と付けなければならないくらい有名ではなかったということだろう(笑)。

ジャケ左下の方に「Tanzschaffe」とあるのは、「ダンス音楽」的なニュアンスだろう。当時の売り出しに際して、
「このバンドはダンス音楽ですよ、踊れる曲が収録されていますよ」
というのが売り文句になっていたのがうかがえる。
ドイツといえば、クラシック音楽の本場であるから、今よりも音楽のジャンルの「明確化」が厳しカかったのが想像できる。
これは
「こういう音楽でございます」というのを明確に出さないと売れなかったのではないだろうか。

さらに裏ジャケには、曲目と歌っている人間の紹介が。
変なのはここ。
「ANNA」の紹介文に、「Paul zeigt seine solistische Masche 」とあり、ポールが歌う傑作と紹介されています。
・・・もちろん、ジョンですよね、あの曲・・・(笑)なぜ何年も訂正されていないのか、面白いです。
・・・イギリス本国のEMIも、ドイツ盤には無関心だったということか。

レーベルは、HÖRZU”redレーベル。
オデオンに比べると、なんだか工夫のない感じのレーベルです。

1966年以降になると、
ALLE RECHTE DES PLATTENHERSTELLERS UND~
という、レーベル面縁にある著作権関係の注意書き文字が、
URHEBER UND LEISTUNGSSCHUTZRECHTE, BESONDERS~
という文字に変更されます。

たぶん付属のインナーから推測すると64~5年盤だと思います。

マトリクスはUKとおなじXEX421/422。

このレーベル,中央部スピンドルの周囲に結構目立つ幅広で深い輪があります。
さらに、ラン・オフ部分(内側の音のない部分)に、
「Manufactured in Germany」と但し書き。
 ※ほかのレコにはこれがありませんね。

同じHÖRZUでもこの溝や文字が無いものが多いので、これはグラモフォンの工場ではなく、別工場に「別注」したプレスの可能性があります。
(いわゆる
コントラクト・プレスですな。)

調べてみると、
Teldec(テルデック)というクラシック中心のレーベルのプレスがこの形に合うようです。
※Teldecという会社は、ドイツの
「テレフンケン(Tel)」「デッカ(dec)」が作ったベンチャー会社だそうな。
 なるほど、そのまんまの名前ジャン!なんでもドイツで有名な
DMM(ダイレクト・メタル・マスター)もこのTeldecが開発したのだそうな。
 恐れ入りました。
ドイツ盤の「リボルバー」の2ndプレスや、「Sgt.Peppers」の中にもTeldecがあるらしいので、信憑性ありです。
ちょっと普通のグラモフォン盤よりもレアなプレスのようですね!ラッキー!!