PMC7016「"A Collection Of Beatles Oldies"（ｍｏｎｏ）」の巻
　
"A Collection Of Beatles Oldies"
Release：December 9th,1966

Tax Code：KT
Jacket: Garrod & Lofthouse Co.LTD

　１９６６年のクリスマス。
　クリスマス商戦で、レコードが飛ぶように売れる季節。
　そんな大事な時期に、今までビートルズは何とかニューアルバムを間に合わせてきた。
　しかし、この年はそうは行かなかった。

　１９６６年８月、キャンドルスティックパークでの演奏を最後に、ツアーでの演奏を事実上「封印」したビートルズ。
　その後、メンバーはコンサートに縛られることが無くなり、各自が自由な活動に入ってしまったのだ。そんな中で、１２月までに新曲を１４曲もそろえることはもはや不可能だったのだ。
　さらに、１１月になって録音をスタートしたのは、画期的アイデアともいえる「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」と「ペニーレイン」。
　もはや彼らの創作意欲は、間に合わせアルバムには収まりきらないところまで達していたのである。
　しかし、この「書き入れ時」に売るレコ無しではつらい。

　そこで、苦肉の策として考えられたのがこの「ベスト盤」なのである。
　普通だったらメンバーはこんなアイデアに賛成しなかったはずだが、次なる境地に達しつつあったスタジオ録音の可能性に比べれば、そんなことは取るに足らない問題だったのかも知れない。かくして、メンバー公認の唯一のベスト盤が、公式に世に出ることとなったのである。

それにしてもこの選曲は・・・

①アルバム未収録のシングル曲
　「シーラブズユー」「フロム・ミー・トゥー・ユー」「恋を抱きしめよう」「アイ・フィール・ファイン」「デイ・トリッパー」「ペーパーバック・ライター」「抱きしめたい」
　・・・ファンなら当然シングルを持っていたであろう。
②未発表曲
　「バッド・ボーイ」
　・・・たった１曲だけ？？
③以前のアルバム収録曲
　「ヘルプ」「ミッシェル」「イエスタディ」「イエローサブマリン」「キャントバイミーラブ」「ア・ハードデイズ・ナイト」「涙の乗車券」「エリナー・リグビー」
　・・・「ハードデイズナイト」「ヘルプ!」「ラバーソウル」「リボルバー」からの寄せ集め・・・泣
こんなアルバムをまじめに買うだろうか？？

予想通り、このアルバムはチャートで４位までしか上がらず、しかもセール期間を過ぎるととたんに売れなくなったため、「あまり印象に残らない」アルバムとして、後世にまで名を残すこととなったのである（笑）。矛盾？

唯一、何か良いところを、といわれれば、ほかのアルバム（写真）とは一線を画したイラストのジャケットや、裏ジャケの「日本でのスナップ」が左右反転に印刷されてしまったことなど、小さな点ばかりである。
きっと、今後もＣＤ化もされずに（意味も無い）忘れられてゆくのだろうが、
われわれビートルマニアだけは幾久しく語り伝えて生きたい悲しいエピソードである。


レーベルの変遷については諸説ありますが、以下のような感じです。
タイプ１－Ａ・・・「ローマン字体」のもの。Ａ面の曲名はＢ面よりもややスペースをとって印字されている。
　　 　１－Ｂ・・・「サン=セリフ字体」で、それ以外はＡタイプと同じ。１９６７年盤か。

この後、クリスマスが過ぎて急激に売れなくなったため、レーベルの変遷が極めて少ない、珍しいケースとなっている。