PMC7009「"REVOLVER"(mono)」の巻
 
"Revolver"
Release:August 5th,1966

Matrix No.:XEX605-2/XEX606-1
Stamper/Mother No.GO(15)/1 GA(13)/3
Weight :165g
Tax Code:KT
Jacket: Ernest J.Day & Co.Ltd London

Matrix No.:XEX605-2/XEX606-1
Stamper/Mother No.AD(30)/5 AD(30)/3
Weight :170g
Tax Code:KT
Jacket: Ernest J.Day & Co.Ltd London

 1966年といえば、ビートルズ日本公演の年。
 来日は6月だったので、その直後に発売されたアルバムということになる。
 日本にきたときに、
警備の警官の「ピストル」からアルバム名を考案したという逸話も残るほど、日本公演とダブルイメージに重なるアルバムである・・・とはいっても、もちろん、日本公演ではこのアルバム曲は披露されていないのだが(笑)。ジョンやポールが来ていたサイケな色使いのスーツは、ダークなイメージの「ラバーソウル」よりも「リボルバー」の雰囲気に似合うのは、来日時とこのアルバムの録音時が同じだったからであろう。
 
 このアルバムには、「ラバーソウル」のマトリックス1よりもさらにマニアックな枝番違いが存在することは良く知られている。それがこの「B面マトリックス1」アルバムである。

 このアルバムが発売されたとき、B面最後の曲「Tomorrow Never Knows」にはミックス番号11番の演奏が収められていた。ところが、実際にジョンが聴いたところ、
「これは俺がOKを出したミックスじゃあねえ!!」
と言い出し、急遽、ミックス8番の演奏(マトリックス2)に差し替えることになった、しかし、すでにレコードのプレスラインは稼動しており、差し替え前のレコが出回ってしまった、という
いかにも本当らしい噂話である。
※たいがいのこの手の話は、レコード屋さんが「レア度」を高め、値を吊り上げるためにかなりの部分で「創造された」ものもあるのが事実であろう。
 実際、「ミックス違い」といっても、実際はSE(効果音)の入りどころが違うだけ、なのである。
 これがマニアの「収集意欲」をかき立てることとなり、現在では、入手困難なアルバムの一枚と数えられているのだ。
 実際、私の調べたある店では、
EXのものが19万円(驚!)、VGのものでも6万円である。恐ろしい・・・。

 私は2000年ごろに手に入れたのだが、やはりランクはVGであった。磨きに磨いて、なんとか雑音が出ない程度には復活している。先日発売された「ビートルズCD/MONOボックス」セットにも、この「B面マトリックス1」は収録されておらず、それゆえまた希少性が再認識される結果となっている。しかし・・・SEの違いだけに皆さんは10万円を払えるか??(爆)
「イエローサブマリン」のモノラル盤とともに、「ビートルズ・オタクの踏み絵」と化したレコードである(笑)

このアルバムでの勢力図はこんな感じ。
ジョン=A面2曲、B面3曲 合計5曲。
ポール=A面2曲 B面3曲 合計5曲。
ジョージ=A面2曲 B面1曲 合計3曲。
リンゴ=A面1曲。以上(笑)
ジョンとポールは拮抗しているが、そこにジョージの3曲が当選。成長が著しいのだ!
しかも、「タックスマン」「アイワントトゥテルユー」は名曲だし、
「ラブユートゥー」はこのアルバムに
インド風味を足し、「サージェントペッパー」の「原型」を既に形づくっているのだ!!いわば、「よくやった、ジョージ」アルバムなのである。

それに比して、ジョンはどうだろう。
「I'm Only Sleeping」・・・眠い。
「She Said, She Said」・・・死ぬとどうなるか、私は知っている。
「And Your Bird Can Sing」・・・ごろあわせ曲
「Doctor Robert」・・・ヤクを処方する医者。
「Tomorrow Never Knows」・・・チベット仏教「死者の書」のセリフから引用。
・・・壊れ気味である(笑)。
われわれはいまやいろいろな情報を持っているから、この当時のジョンの置かれた状態もわかるが、オンタイムで聴いていたファンは
「こっちの世界に戻ってきて!ジョン!!」といったところではないだろうか。
ポールはポールで独走しており、
「Eleanor Rigby」=物語風歌詞の得意技を発揮。
「Here, There And Everywhere」=純粋な恋愛賛歌。
「Good Day Sunshine」=太陽のさす散歩道。明るい!
「For No One」=悲しみから立ち上がり一歩踏み出す女の姿。
「Got To Get You Into My Life」=なんとかして君を手に入れる!ポジティブシンキング!!
まさに対照的な2人。同じグループとは思えないほどの隔たりである。=それがBeatlesの魅力なのだが、
思えば、この時点で2人の嗜好の差が歴然としてしまったのだと言わざるを得まい。
このアルバムは、実は
「解散へのカウントダウン」の始まりだったのかも知れない・・・。



 レーベルの変遷については諸説ありますが、以下のような感じです。

タイプ1-A・・・「サン=セリフ字体」で、B面「DR.ROBERT」(マトリックス1はこのタイプのみ)とミススペルされているもの。(上の画像のもの)
    1-B・・・「サン=セリフ字体」で、B面「DOCTOR ROBERT」タイプ。
    1-C・・・字体が「ローマン字体」になり、A面1行目はTAXMANとELEANOR RIGBYが両方並んだもの。1967年製造のものか。
    1-D・・・字体が「サン=セリフ」に戻り、A面1行目がTAXMANとELEANOR RIGBYが両方並んだもの。1968年ごろか。

1969年になると、
PARLOPHONEの下の「SOLD IN U.K.~」表示(いわゆるリマーク)がなくなります。