PCS3062「Beatles For Sale(Stereo)」の巻
 
"Beatles For Sale"
Release:December 4th,1964

Matrix No.:YEX142-1/YEX143-1
Stamper/Mother No.:AA(33)/4, RH(27)/2
Weight :130g
Tax Code:MT
Jacket: Unknown

「Hard Day's Night」からは、stereo表示が横38ミリ×縦5ミリの「middle stereo」になっている。このアルバムでは白抜き文字。

 前作「A Hard Day's Night」から約半年。モノ盤のカタログナンバーは10番進んだのに対し(1230→1240)、ステレオ盤ではたった4番(3058→3062)しか進まない。これが当時のパーロフォン・レーベルの「ステレオ盤は出さなくてもいいでしょ」という現状を示している。

 mono盤のページで書いたとおり、時間が無くてカバー曲のオンパレードになったアルバムであるが、かえって「ビートルズのルーツを示すトリビュートアルバム」としての存在感があり好ましいクリスマスプレゼントとなった感さえある。

モノラルとの違いは、前3作よりも目立たない。ほとんどはエコーの係り具合や、エンディングの長さの違いなどである。
 大きくテイクが違うのは「ハニードント」のボーカル差し替え部分と。「カンザスシティー」ミックス時に生演奏で録音したピアノである。
 
 どうでも良いことかもしれないが、この際、内容ではなく、ジャケットについて考えてみたい(笑)。裏ジャケ写真の修正について考察してみたいのだ。

 私の持っている2枚のMONOはともに、裏のポールの毛が修正されている。ところが、ステレオ盤では修正されていないのだ。修正の理由は写真から想像するに
「ポールの頭部分に、手前の枝の影が重なっている」
という、まことに同でもいい理由のようだ。

縁起が悪いとでも思ったのか、これを修正するために、たぶん人間部分だけを切り取った写真を作り、それを基の背景上に重ねて新しい写真にしたのである。

 おかげで、モノ盤のほうの写真は不自然に輪郭線が強調され、いかにも手作業で切ったような不気味な印象を与えるものになってしまった。
 
 ところが、なぜそこまでこだわった挙句にステレオ盤(同日発売なので時期の違いではない)では修正を行わなかったのか?これは大きな疑問である。同じ工場内で作っていたのなら、両者を同時に修正したほうが手っ取り早いと思う。ということは、これは「別工場で生産されたジャケット」と考えたほうが自然であろう。
 実際、修正無しと修正アリのジャケットを良く見比べてみると、フリップバック(折り返し)部分の切り方が違うことに気づいた。モノ盤のほうは切り取り部分に「バリ」のような突起が残っているのに対し、ステレオ盤のほうはまるでカッターで切ったようにまっすぐに切れていたのである。これは、ジャケットの作成方法が(形式はまったく同じにもかかわらず)使用する機械などの仕様によって違っていた証拠となるのではないだろうか。今はまだそこまでこだわる人はいないのだろうが、たとえば同じ「Garrod&Lofthouse」社製のジャケットでも、
下請けA、下請けB・・・のように微妙な違いまで見分けられるような人がでてきたら面白い

 当時は多数の予約枚数をこなすため、発売日直前までフル稼働で生産していたに違いない。同じジャケを多数の下請けに発注したせいで、このような差異が生まれてきたのであろう。
 

レーベルの変遷については、以下のようである。

タイプ1 リムの文字が
PARLOPHONEで始まるもの。(この写真のタイプ)
     Recording Eirst Published 1964 が「Ⓟ1964」に変わったもの。
    3 リムの文字が
GRAMOPHONEに変わったもの。1965年最初期。


オリジナル1964年盤を求めるならば、
タイプ1、2を見つければ確実である。


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