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1994年8月。1回目の渡英・・・


 8月15日(月)。大混雑するヴィクトリア・コーチ・ステーションにわたしたちはいた。ここから長距離バスに乗って、一路、北にあるニューキャッスル・アポン・タイン(直訳すると、タイン川のほとりにある新しい城)に向かうためである。ここは、今回の旅の大いなる立役者である、我らの友人、クレアのふるさとなのだ。
 通じやしねえ英語を駆使してやっとの思いでチケットを購入、午後3時発のバスで一路北へ。道中、外の景色を眺めながらT氏はつぶやいた。「失敗した。この国には魚が釣れる川なんか無い…」そう言わしめるほど、山もなくなだらかな丘が延々と続く景色だった。
 白夜のように明るい午後8時45分。ニューキャッスルに到着。クレアとクレアの父デイヴィッドは、大型のRV車のフロントウィンドウに「マジカル・ミステリー・ツアー」と書かれた横断幕を貼って出迎えてくれた。まったくお茶目な親子だ。クレアの妹ジュリアも一緒だ。3人に連れられて郊外のクレア宅へ。レンガ造りの建物。見た目以上に中が広くて、一体全部で何部屋あるのか想像すら出来なかった。そのまま夜中までワイン・シェリー・リキュールと飲み明かし、まったく前後不覚に…おやすみなさい。
(上の写真は迎えに来てくれたクレア。ビデオからのキャプチャーなので画像が悪い。ホントは美人。下は「ジョーディー・パスポート」を受け取り酔って夜中まで上機嫌のT氏・わたし・TB氏。アビーTシャツ、見えますか?)

8月16日(火)。遅く起きたこの日は、妹ジュリアの運転する車で海辺の町へ。そう、ニューキャッスルは北海に面しているのだ。真夏なのに寒かったが、きれいな場所だった。途中、「スパニッシュ・シティー」という遊園地(※イギリスの海岸にはこの手の遊園地が付き物らしい)に立ち寄り、恐怖の体験をする。それは「Waltzer(ワルツァー)」という名の乗り物であった。見た目はコーヒーカップのちょっと大きい版で、クルクル回るだけ、ちっとも恐くなかったのだが、BGMが途中で激しい曲になったとたん、すごいハイスピードで回転し始めるのである。しかも、継続時間が長く、遠心力のGにより気が遠くなってくるほどだ。

 みよ、この2枚目の写真のT氏の表情を。これは急激にスピードが上がった瞬間を捉えた、貴重な映像である。彼の驚きぶりが手に取るように伝わってくる。
 我々の遠心力に耐えるその姿、あたかも宇宙飛行士の訓練のようであった。この乗り物から降りた後、我々は船酔いにも似た症状に長時間悩まされることになるのであった。不思議なことに、クレアとジュリアはこの高速回転をして全く意にも介していないようである。 

 3枚目の写真には、余裕で回転を楽しむ姉妹の余裕の表情が伺える。まったく、東洋人と西洋人の違いをまざまざと見せ付けられた瞬間であった…。
 
 この日はその後、ニューキャッスルの街中などを散策した。教会や城跡、そして、有名な回転橋など、見所がたくさんあった。
 ふと楽器店を見つけて立ち寄った。珍しい楽器は無いが、値段は日本よりもだいぶ安い。物によっては半額に近いものもある。T氏は、ドラムの先生へのお土産に竹ひごを集めたような「ホットロッド」というばちを購入していたようだ。

夕食後、クレアの父デイビッドとセッションするために夜、無人となった小学校へ。かれはキーボーディストであった。我らはギターで、数曲遊んだ。とても充実した一日であった。