2009年3月
「ヴァリアント春の旅」の巻
ある春の日。目的地もなくドライブに出てみた。
お仕事に切りをつけ、午前10時。
とりあえず埼玉は秩父に向かってみる。
秩父は高校生の頃からのお気に入りの土地である。
高校の図書室にあった「秩父幻想行」という写真集に魅入られて以来、何度と無く訪れた場所だ。
何かあると、意味も無く行きたくなる場所というものが、誰にでもあるものだろう。
私の場合、それが秩父なのだ。
峠を越えると、武甲山の姿が見えてくる。セメントのためにかなり削られて往時の面影はないが、
削られる前は屏風のように美しく立ちはだかる山だったのだ。
さて、道の駅に立ち寄り休憩しながら、どちらへ行こうか考える。
とりあえずここまで来たのだから、雁坂峠を越えて山梨方面にでも行って見るか。
思えばヴァリアントに乗り始めてから山道のワインディングなんかを走ったことはまだ無かった。
ちょうどいいのでためしに山へ行ってみよう。
途中、しだれ桜の清雲寺に立ち寄ってみた。
まだ満開には遠いが、樹齢600年という見事な桜の幹を見ているだけでも十分に感動はできると思う。あと1週間ほどで満開になるのではないだろうか。きっと大勢の観光客でごった返すであろう。
さて、ループ橋などを通過してどんどん国道を進むと、いよいよ山梨県側に突入である。
気温は低いが、すでに雪などの様子は無く、山の上にも春の気配である。雁坂トンネルを抜けて笛吹方面へ下りる。
イメージ的には、甲府盆地のほうが平野よりも冬の冷え込みが厳しく、桜の開花も遅いような気がするのだが、なぜか甲府側に下りたとたんにあちこちの桜がほぼ満開に咲いていることに気付く。
斜面が南向きだからなのかもしれないが、不思議な現象である。せっかくこんなに咲いているのだから、どこかでちょっと花見気分で休憩したいところである。
すると、ちょうど道すがらに「善光寺」の看板を発見。
善光寺といえば、長野市にあるあの善光寺であるが、ここ山梨にも甲斐善光寺があるのだ。
聞けば、武田信玄が戦乱で長野の善光寺が焼け落ちるのを恐れ、本尊を避難させて安置するために建てた寺なのだとか。その当時のお堂は、近所の農家から出た火災によって焼け落ちたが、再建されて現在に至るらしい。
よく見れば、お堂の形も本物の善光寺とよく似ている。
大きさはまったく違い、「ミニ善光寺」の感は否めないが、それでも信心深く似せて建てた気持ちが伝わってくる。
500円で堂内に入り、胎内めぐり(これも本場善光寺よりもかなりミニだが)をしてから、宝物館に。
ここには重要文化財の木像や、秘仏のレプリカなどがあり、面白かった。
さて、帰りはETCの「通勤割引」が効く時間に佐久インターにたどり着きたい。
これで半額になるのだから逃す手は無いのである。
甲府から西方向に国道20号を走り、清里方面に北上するルートに入る。これが最短ルートである。
途中、八ヶ岳の山並みなども見ながら快適なドライブ。昨年家族で訪れた野辺山高原のSLランドの前を通過しながら、今度は山を下る。
このヴァリアントのDSG&1.4エンジンの弱点を挙げるとすれば、それは下り坂でのエンジンブレーキの弱さである。
もともとが小排気量のエンジンであるためか、ギアを落としてもなかなかエンブレの効きが甘いのである。
マニュアルモードにして3速あたりまで使いながらの走行である。
逆に、のぼりや高速での走りは1.4とは思えない走りである。
高速道路でターボを効かせてやれば、他の追随を許さないような加速が得られる。
ディーラーの方が○20キロまでは出ますよ、といったのは嘘では無いであろう。ここが日本で無かったら・・・と悔やまれる。
ということで、春の一日をのんびり満喫したドライブであった。