PMC7070「"Yellow Submarine"(mono)」の巻
 
"Yellow Submarine"
Release:January 17th,1969

Matrix No.:XEX715-1/XEX716-1
Stamper/Mother No.:RD(20)/1 GO(15)/2
Weight :155g
Tax Code:KT
Jacket: Unknown

 前作「The Beatles」が売り出されてから1ヵ月半の後に発売されたアニメ「イエローサブマリン」のサウンドトラック。
 内容は、A面には
 
3年前(1966)に発売された(笑)タイトル曲「Yellow Submarine」、
 ②
1967年に既にシングル発売されていた「All You Need Is Love」
 ③セッションから
偶発的に生まれた名(迷)曲「Hey Bulldog」
 ④ジョンとポールの水準からすれば
「おふざけ」にすぎない「All Together Now」
 ⑤Sgt.pepper録音時に
録音されたジョージの作品「It's All Too Much」
 ⑥Sgt.Pepper録音時に
没にされた「Only A Northern Song」
 B面はプロデューサー、ジョージ・マーティンが手がけた映画のBGM(オーケストラ演奏)。

 ・・・どう考えても魅力的ではない(笑)。

 このタイミングで、この内容で、爆発的に売れてたら奇跡である。
 しかも、このモノラル盤は、ステレオ盤の音をただモノにしただけの「偽モノ」である。
 1969年は、レコードがすべて「ステレオ」フォーマットに切り替わる時期で、このレコードを最後にビートルズはモノーラルレコードを製造しなくなった。その最後のレコであることだけが、いわばこのレコードの価値のようになり、あまり多くプレスされなかった関係から、いまや
価格だけは高騰し、一人歩きしてしまったのである。

 EMIの元エンジニア、ジェフ・エメリック著の「ザ・ビートルズ・サウンド/最後の真実」を読むと、メンバーが言った

「ダメな曲はみんな”イエローサブマリン”に回しちまえ」

的発言がそこかしこに出てくるが、実際、サージェントペパーズを録音時のビートルズは、アニメ映画のサントラなどを本気で手がける気はさらさら無かったのだろう。

 しかし、実際にこのアルバムを手にし、じっくりと聴いてみると、それほど「捨てた」ものではないとも思える。
 特に、「Sgt落ち」を経験したジョージの2曲は(確かに、この曲がサージェントペパーズに入っていたら見劣りしただろうが・・・)それほど悪くない。
特に、「It's All Too Much」は、印象的なイントロから、ベースの激しい音、シンセサイザー的音作り(当時はまだ開発されていないはず)、ギターソロの独特なサウンド等、聴き所は多数ある。セッションの産物とはいえ「Hey Bulldog」は最高の部類に入るロックナンバーだ。特に、ポールの弾くベースは独特の弾むフレーズをここぞとばかりに披露してくれる。
 しかも、B面のオケの演奏も、仕事しながらのBGMには結構使えるのである(笑)。
 
 ところで、レコの内容よりも面白いのはジャケット裏面である。
 
 まず、この印刷会社の名前が入っていないジャケは不思議である。
 以前も、「For Sale」アルバムのときに明確に社名のないジャケットを使用したことはあるが、このアルバムではステレオ版には会社名(Garrod&Lofthouse)の入ったジャケットを使用しているのに、
このMono盤には印刷されて無いのだ。
 見るからに同じつくりなのだが、ジャケットの印刷を外注したか、あるいは一時的に印刷ミスでこうなったのかは私はまだ知らない。

 さらに、よく見るとすごいことに気付く。
 この裏面にびっしり書かれた「ライナーノーツ」であるが、よく読むと、
この「Yellow Submarine」アルバムのことについては一切触れられていないのだ。換わりに、1ヵ月半前に発売された「ホワイトアルバム」のレビューが引用されている(笑)。要するに、この裏面は実は「ホワイトアルバム」の広告媒体として使用されているのだ。なんというB級的扱いであろうか。これを苦にして?US版では映画に出てくる敵キャラの紹介文に内容を変更したのだと思う。


レーベルの変遷については、以下のようである。
タイプ1-A・・・「An E.M.I Recording が2列表示のもの」
    1-B・・・
1969年中期以降で、「Sold In U.K.」(リマーク)の無いもの。