2005年4月 「あれ?何かが違う…」 

 ビートルズのビデオを見ていて、はたと気付いた。

 ジョージ・ハリスンは曲の途中でよくギターのスイッチをいじる。
 時にはボリュームだったり、時にはセレクターだったり。
曲に合わせて、あるいは曲の部分に合わせてギターの音色を変化させようとしているのだ。
職人ぽくて、私は彼のそういうしぐさが大好きだ。…と、しげしげと見つめていたら、発見したのだ。
 
 彼は、主にグレッチの下カッタウェイにあるマスターボリュームや、上カッタウェイに2個あるセレクターのうち、一つ目(ヘッド側)のセレクターをいじっているのだ。私は自分のグレッチの配線を信じ込み、それが「トーン・セレクター」だと思い込んでいた。しかし、ギターの配線図などを詳しく調べてみたら、本来はそちらは
「ピックアップ・セレクター」だったのである!彼は曲の間に頻繁にピックアップを切り替えているのだ。例えば、エド・サリバンショーの中でも、
「ツイスト&シャウト」はフロント、
「シーラブズユー」「フロームミートゥーユー」はセンター→ソロ部分でフロントに切り替え
「抱きしめたい」はセンター(Mix)
「オールマイラビング」はフロントで、ソロ前にマスターボリュームUP
…というように。
 さらに彼は曲終わりでお辞儀しながら、手はもう次の曲のセッティングに切り替えている…。二十代前半にしてすでに「職人気質」である。さすが
頑固なイギリスの労働者、としか言いようが無い。

 カントリージェントルマンについているP.U(フィルタートロン)は非常に出来のいいP.Uである。
ハムバッカータイプでありながら、枯れた音が出せるのが大きな特徴だ。いまだにコピーされたりしていて、さながらギブソンの「PAF」扱いである。ネックPUとブリッジPU、そしてMix時の
音色の変化が大きく、ジョージがそれを生かそうとしたのもうなづけるのである。

 それにしてもいったい誰が私のジェントルマン君のスイッチを逆に取り付けてしまったのだろう?
 長い歴史の中で、故障の修理をする機会はきっと多かったことだろう。そのときに、うっかり逆に取り付けてしまったのかもしれない。あるいは操作性などを考えて(手前にセレクターがあったほうがすばやく動かせるだろう)わざと逆に取り付けたのかもしれない。元に戻すのは簡単だろうが、まあそれほど気にすることでもないので、とりあえず現状のままにしておこう。もしかしたら、もとの持ち主である
リック・ニールセンの仕業かもしれないし…。

 ちなみに、このギターにはトーン・ポットは無い。マスターVolが1つと、各ピックアップのVolが一つずつである。
 トーンはさっきのセレクターで決めるが、
@真ん中ポジション→トーンなし(直結)
A上ポジション→0.022μF(トーン5)の状態
B下ポジション→0.047μF(トーン0)の状態

 を切り替えているのだ。といっても、私の楽器の場合、どうもトーンをかませると音がこもりすぎてしまい、使い物にならないのだ。コンデンサーがダメになっていることも十分考えられる。

 とりあえず、つれづれなるままに、中を開けてみることに。すると・・・。
 これがトーンセレクター本体。黒いAEROVOX社製のキャパシターだが、値を見て欲しい。一つは0.05μFだが、もう一つが
0.1μF。初期設定の2倍である。これでは音がこもっているのも不思議はない。(値が大きいほど中音域まで幅広く削ろうとするから…)始めからこれが付いていたのかどうかも分からない。はんだなどはやり直した形跡は無い。全くの謎だ…。このまま戻すのももったいないので、手持ちのキャパシターから0.022μFを見つけて取り替えてみることに…。

 0.05はそのまま生かし、以前に
城之崎温泉の喫茶店「しんくうかん」店主からいただいたオイルコンデンサーを取り付けてみた。200V設定は元のと同じである。これで音を出してみると、以前は使い物にならなかった「トーン5」の状態が結構普通に使えるようになった。逆に言うと、トーン無しとの差がやや無くなった、というべきか。これでしばらく様子を見ようと思う。

スイッチも、外しついでにスタンダードな位置にしてみた。操作性が悪ければ、また逆に付け直せばいい。

 ついでに、城之崎で手に入れたほかのコンデンサーも・・・。
 一番上はWEST-CAPの0.022である。
 真ん中はSANGAMO USAの0.022だ。結構人気があるらしい。
 一番下はGEN?の0.022だ。これらを付け替えるだけでも結構遊べそうでしょ?私がSGを持っている、といったら
喫茶店のオヤジさんが無料で!くれたのだ。今でも忘れられない思い出だ。

 箱の中には、古いAC30から取り外した規格はずれになった部品たちである。WIMAのキャパシターとか、もう使えないと分かっているのだがなかなか捨てられない。他人が見たらただのゴミだろうが、私にとっては「へその緒」みたいなものなのだ。
 もちろん今回外したAEROVOXもこの箱の中でお休みすることになったのである。


2005年5月 「グレッチのケース」 

 この前入手したグレッチのケースだが、送り主が間違えて
別のケースを送ってきたことが判明した。(気付かなかった自分も怖い。)
 たしかに、メールで確かめたのよりも厚さが厚いなあ…とは思ったのだが。

 向こうのオヤジが失敗に気付き、すぐに正しいケースを送ってくれた。
 私の手元にあるものは送り返し、送料を向こうが払い戻してくれるらしい。
 (そりゃそうだんべー。俺は何も悪いことはしていない。)

 しかし・・・である。この2つ目のケースが届いたとき、再び
「税金」をとられたのだ!こりゃーどうすりゃええねん?ええ?税関さんよおおお!!!
 この税金分も相手に請求してやろうか・・・。全く。

 怒りはこれくらいにして、新・旧ケース比べといこうか。

 右が旧ケース。厚いです。カントリージェントルマンはもともと薄いボディ(よくいうシン・ライン)です。このケースは明らかにディープ・ボディの規格です。
 これに入れると、ケース内でボディーが浮いてがたつくことになり、大変危険です。さらに、ハンドルも樹脂が割れているときたもんだ。
 次の粗大ゴミ回収時には出してしまおうと思います。

 左が新しく入手したケース。厚さで約2.5cm薄くなっているが、外形はほぼ同じである。
 発見したときは「カントリージェントルマンかテネシアン用…」とあいまいな記述になっていたが、サイズを測ったらジェントルマンのボディサイズと同じだった。
 (ジェントルマンはボディ幅
17インチ・テネシアンは16インチだと思う)
 年代も60年代で「ジャストフィット」なのである。

 それにしても、このケースの模様。普通の網目模様だけでなく、太い筋が入り、さらに
シルバー塗装されたアクセントまで入れられているのだ!本当に凝ってるなあ!しかし、凹凸が大きく、汚れが溜まりたい放題なのだ!リッケンやフェンダーもそうだが、当時はアンプとケースの表皮は同じものを使う場合が多い。60年代のグレッチのアンプもこれと同じトーレックスを使っているのをも見たことがある。


 写真ついでに…
 リッケン325V63(実際にはV64と呼ぶべきだろう…)のジャックプレートである。
 数年前、アメリカのHPで見つけて輸入した。
「DB122」の刻印が見えるかな?そう、ジョンの2本目の325と同じ番号である。
 
 
は1964年、は2月を示している。そう、エド・サリバン・ショーに出演するために初渡米したあの2月の番号だ。122は1964年の122番目に造られたことを示すらしいが、税金対策にわざと少なく打つこともあったらしいので、確実とはいえないかも。

 ジョンが受け取ったのは、2回目の出演分の収録が行われたマイアミのホテルだった。日付は2月16日だ。この日はドービル・ホテルからの生中継だったので、楽器が届いたのはそれ以前の時間帯、きっと放送に間に合うようにとリッケンバッカー社が
社運をかけて届けたに違いない。

 先日、325をネットで見つけて買おうとしている知人のために、近所の楽器店へ行った。フレットも減っておらず、まさに新品同様のものだった。逆に言えば、
買ってはみたもののあまり活用されずにしまわれていた?楽器かもしれない。なんだか、かわいそうだった。弾いてもみたが、やはり鳴りはいまいちだった。その楽器はその1日後、別の人に買われていったという。あの楽器の幸運を祈る。
 
 最近、ネットやオークションで楽器を買う人が増えていると聞く。
 やっぱり楽器は、自分の目で見て、手で持って選ぶのがベストだなあ。もしそれが新品だとしても、ただ「モノ」を買うのとは違った、
「出会い」性みたいなものを、私は楽器に感じているのだ。

2006年3月 「念願のインペリアルGET!」 

 グレッチ・カントリー・ジェントルマンを購入して以来、10年越しの夢がようやく実現した。
 
 私のジェントルマン君は、ペグが弱っていた。チョーキングなどちょっと派手にしようものなら、チューニングなどしなかったも同じ、というくらいに狂う。
これも古くなったペグのせい、と諦めていた。
 いつかはちゃんとしたペグと取り替えたい、そう思い、方々を探したが、60年代のオリジナルの「グローバー・インぺリアル」は全く見つからない。70年代のちょっと形状の変わったものならば見つかったが、値段の高さに踏ん切りがつかなかった。

 ところが、今回、
見つかったのである。それも、NOS(未使用の在庫品)のインペリアルが。アメリカでも日本でもなく、それはイタリアはシシリー島で見つかったのだ。Nino氏という、ちょいと色男のヴィンテージ・ギター・コレクター(ショップも経営している)の放出品である。元箱に入っており、状態は完璧!!
 しかも、私のジェントルマン君はすでに金メッキがはげているので、通常の金メッキのものではなく、クロームのものを探していたのだが、これまた偶然クロームの1セットだったのである。
 箱を見てみると、不思議なことにどこにも「Imperial」という名前はない!!パーツナンバーは110。
※有名なのは「102」ですよね。
 そして「DeLuxe Enclosed Guitar Machines」とだけ書いてある。直訳すると、「豪華な密閉型糸巻き」とでも言おうか。いったい誰が「Imperial」と名づけたのだろう??

 さて、はるばる
イタリアから届いたそいつ。さっそく取り替えてみよう。 
 で、始めの難関。ペグ台座のねじ穴が小さく、取り付け用のねじが入らない。どうしたものかなあ…仕方がないので、安い工具セットの中にある「ドリル」を使って穴を微妙に広げることに。これで1つクリアー。
 もともと付いていたブッシュなどは共通に使えるので、これといった工作もないのだが、何箇所かヘッド側(木部)のねじ山をなめてしまっているところがあり、そこは爪楊枝で穴をふさぎ、応急処置しながら取り付け。
 数十分後、6つのペグ全ての交換を終えた。無事ついて良かった…。

 それにしても気分がいい。なによりも、チューニングが安定したのがうれしい。これでジェントルマン君も晴れて「実用ギター」の仲間入りである。

 ところで、グローバー・インペリアルがなぜ当時としては
「高級・立派」なのか分析してみよう。
@まずはそのかたち。
 →階段状になったつまみ。どんな豪華なヘッドにも迫力負けしないその存在感。
A構造の複雑さ。→分解ついでに撮った写真を見て欲しい。
 まず
の部分のねじを締めると、ペグつまみが右に押されての部分の軸を覆っている筒をさらに右に押し出す。すると、軸がつまみ側に引っ張られるようになり、スプリングワッシャーを介して、ケースの軸受け部分に青い→の方向からトルクがかかり()、ペグの動きがタイトになるという、なんと「可変トルク機能」が付いているのである。
 これは、クルーソンなどの普通のペグと比較すると
常に凝ったつくりだということが分かる。しかも、クルーソンは基本的には分解不可なのであるが、こいつは写真でお分かりのように分解して内部をメンテナンスできるような構造になっているのだ。しかも密閉型なのでグリスなどによる汚れも皆無。
 実は今まで気付かなかったのだが、私のジェントルマンについていたペグのいくつかは、上記の
の筒が紛失しているものがあり、(前の持ち主が分解過程などで紛失したと考えられる。)まったくトルクが掛からない状態だったのである。これでは、チョーキングのたびにチューニングが狂うのも無理はないというわけである。
B重量が…軽い!!→見た目とは裏腹に、かなり軽い素材でできている。これはヘッド重量を軽くするのに一役買っていると思われ、ギターの鳴りにも影響があるであろう。さすが、天下のグローバー!!

 かくして、晴れて
「正しいギター」に生まれ変わったカントリー・ジェントルマン君。
それにしても、本当にこの「グローバー・インペリアル」に出会うチャンスって、これからもかなり稀な出来事ではないかと思う。大切に使わなくちゃいけないなあ、そう痛感したoyoyoであった。


2006年6月 「グレッチのカタログをGET!」 

 1960年代のグレッチのカタログを入手した。
 復刻版もよく目にするのだが、これは本物だ。

 安かったので仕方は無いが、表紙の紙などはすでにニ分割されていたりして状態はよろしくない。しかし、当時の雰囲気を感じるためには十分なアイテムであろう。

 さてまず、このカラーのページ。
 チェットが開発に携わっている3つの機種が紹介されている。左のカントリージェントルマンはまだミュートのノブが大型のいわゆる「ビッグ・ミュート」モデルであるので、このカタログは1962年前期以前のものだとわかる。
 真ん中はテネシアン。まだシミュレイテッド・サウンドホールに白い縁取りが無い時期である。
 一番右は6120。
 3本をこう並べてみると、微妙なボディ形状の差やピックアップ位置の違いなど、一口にグレッチといっても奥が深そうである。
 それにしても、一人で3種類もシグネイチャーモデルを作っちゃうなんて、
欲張りなのね、チェットちゃんたら。
 
 気を取り直し、つぎのページを見てみよう。
 次のページには、各モデルのスペックが細かく書いてあるのだ。
 
共通するスペックは上にまとめられている。
うーんと簡単に言うと…
@半月状のインレイがされた指盤
Aビグスビー・トレモロ・ユニット
Bノイズの少ない「フィルタートロン」ピックアップ
Cトラスロッド入りネック。

(当たり前ジャンか!!って突っこまないで。45年前なんだから)
D0フレット。
(アクション・フローっていうんだ…ふーん、初めて知ったよ)
Eボディ裏にパッド付き 
Fスタンバイスイッチ付き
Gミュート機構内臓。
Hチェット・アトキンス専用の細い弦。 
Iチェット・アトキンスがデザインしたネック。

(細いってことか?)
などである。

値段が、ジェントルマンが$595、6120が$495、テネシアンが$350である。
テネシアンがジェントルマンの半額近いのが驚きだ。やはり廉価版だったのか??

当時のドルは360円固定とか何とかだったのだろうから、ジェントルマンは日本円で214200円。
1962年当時の物価は今の半分くらいであろうから、現在なら42万円程度。かなり高級ギターだったわけだ。

もうひとつ気付くのは、
あのペグはやはり「インペリアル」ではなく、「Deluxe High Ratio enclosed gears」表記されている点だ。
皆さんも今度からはオリジナルのペグを見たらインペリアルと呼ばずに「デラックス」と呼んで欲しい。
※なんのこっちゃわからない方はこちら参照。


2009年5月 「グレッチ君のバックパッド」 の巻

 これはグレッチギターのボディ背面に取り付けられる「バックパッド」である。
 たぶん、カントリーミュージックの世界の重鎮、「チェット・アトキンス」らの時代に考案されたものであろう。
 カントリーといえば、
服装はきっとカウボーイ風。ベルトのバックルもでっかいものをしていたに違いない(笑)。そんなバックルでギターを弾いた日にゃあ、ギターの背面がバリバリに削れてしまうのは必定であろう。それを避けるためにもこのようなバックパッドが考案されたに違いない…と私は思う。
 さらに、グレッチ社は例の「ミュートシステム」を仕込むために、ボディ裏に大きな穴を開ける必要があったのだが、このパッドがあればふたを隠すこともできて一石二鳥だったわけだ。
 
 私の1962年製カントリージェントルマン#50311君のパッドは実は合皮ではなく布製だ。
 この時期特有の仕様らしく、それ以前もそれ以後も合皮のパッドが多い中、レアな存在である。もしかするとジョージの1号機#47628号や、2号機#50740?も布パッドだった可能性があるのだ。(ジョージのカントリージェントルマンのボディ裏を写した写真というのがなかなか出てこないので…)

右の写真は1963年ごろのBBCでの録音風景。
ジョージのカンジェンのバックパッドが、つやのない素材だということがよくわかる写真です。やはり、布製のパッドの可能性が大ですね!


 さて、見ての通り、私の布パッドは劣化し色も褪せ、ホックも2つ脱落、すりきれ穴まで空いている始末。いぜんあまりに弾きにくいので、
お袋に頼んで穴をふさいでもらった(笑)のだが、このまま放置するとばらばらになりそうな状態であった。もし、スペアのパッドが手に入れば、オリジナルのパッドには隠居してもらうこともできると思い、いろいろ探していた。
 すると、今回、60年代ごろ?の合皮製のパッドの中古が手に入ったのである。しかし物事と言うものはそう簡単にはいかないもので、手に入れてみるとホックの直径が全く違うことに気付くのである。画像の上が62年型。ごく小さいホックだ。下が年齢不詳のスペア君。2ミリは大きい。これではボディーに留めることは不可能である。
 仕方がないので、古いホックをすべてもぎ取ってしまうことにした。そして同じような大きさのホックを新たに見つけてつけてしまうしかないと思ったのだ。
 ドライバーでこじって分解したのがこの画像。なぜかは知らないが、分解しているうちにパッドの中から大量の砂ぼこりが出てきた。まるで「重り」のようにたくさん入っていた。保管場所が砂っぽかったということか??いまだに謎である。
 その後、いろいろ探しては見たが、この62年型と同じ大きさの小さなホックはアメリカ国内でもなかなか見つからないことが分かった。自動車用などの大きくて雑なつくりのはたくさん見つかるのだが…。
 代案として、日本製の13ミリのホック(これが一番小さかった・・・)を入手、受け側のホックも取り替えて、最低限の見た目の変化で取り付けることに。ボディーのねじ穴を加工すること無しでつけるので、元に戻そうと思えばいつでも戻せる方法である。古いホックのオス側(ボディ側)を取り外し、日本製のオスを同じねじで固定。これならボディーに傷は付くまい。
 さらにポンチなどを使ってパッドに13ミリのメス側を取り付ける。このホックは革細工の店などでは普通に売っているものである。値段も安い。色はいかにも古っぽい真鍮色を選択、違和感を最低限にしたいところだ。

 さて、実際に取り付けてみると、ホックの位置関係がやはり違うのだ。
 実際にはテンプレートか何かを使って、パッド側とボディー側の位置を決めていたと思うのだが、何年かずれた部品ゆえ、きっと誤差も生じたのだと思う。ま、付かないわけではないので、とりあえずはめてみた。ちょっとしわに違和感があるが、切れ切れの布パッドよりも本来の姿に近く(要するに傷防止などの効果のある)なったと思って我慢しようと思う。

 現在、亀裂の少し入ったピックガードも、60年代の部品を使って再生中である。もともと、グレッチのピックガードは透明な素材に裏からゴールドの塗料を塗ってあるもので(リッケンなどのプレートと同じ手法)、アメリカの専門家に依頼してあるところである。このピックガードも万が一割ってしまうともう手に入れるのは困難なので、温存できるような配慮をしようと思っているのである。

 何せ、
御歳47歳にもなるこの楽器。維持するのにも一苦労なのである。



2009年6月 「グレッチ君のピックガード」 の巻

 オールド・グレッチの最大の弱点は、「バインディング」と「ピックガード」の割れだろう。
 バインディングは自ら発生するガスによって劣化し、ケース内に
しまいっ放しの場合などはばらばらになってしまうし、ピックガードは必ずといってよいほどねじ穴から割れる
 幸いわたしのバインディングは割れがなくいいのだが、ピックガードは取り付けねじの穴から亀裂が入り、しかも縮んで曲がり始めていた。これとて使えなくは無いが、今のうちにスペアパーツを入手しておくに越したことは無い。
 今回、アメリカでNOSのピックガードを譲ってくれる方が見つかったので、オリジナルのピックガードをスキャンして送り、同じ形に作ってもらうことにした。
 もともとはグレッチのピックガードは透明な素材である。ロゴは裏側からエンボス加工してある。モデルごとに色を裏側から塗り、ギターの個体に合わせてピックアップよけの溝を削るという手法で作られていたのだ。要するに。一つ一つが微妙に違うので、取替えは困難なのである。
 画像の下は、わたしが送ったオリジナル・ガードの写真。上は作っていただいた新品である。最近のグレッチはロゴが水平になりつつあるが、この頃のものはこのようにやや円弧状になっている。さすがに時期も近い部品なので、見た目もかなり似ている。これならOKだろう。

 完成から一週間ほどで到着。
 古い方(右)はゴールドが酸化し、緑がかって来ているが、新しい塗料はまだ赤っぽさを残している。
 これは、ピックガード下で日に当たらなかったピックアップリング(エスカッション)にも共通する特徴である。要するに、
「新品の頃はこんな色だった」というわけだ。そのうちに焼けてくれば色合いも落ち着くだろうが、今のところこの差はいかんともしがたい。
 この画像はフロントピックアップである。
 右側の方は隠されて日に当たっていなかったため、まだ赤っぽい塗料が残っているが、左側は黄色というか緑色に変色している。これが経年変化で生じる色の差なのである。
※ちなみに、このリングはギブソンのようにピックアップを吊っているわけではない。ピックアップはねじ2本でボディーに直付けされており(笑)、これは単なる「飾り」である。例によって縮む素材のため、右上のねじ穴部分は見事に割れている。

 さて、取り付けてみると、やはりばっちりである。
 
 スキャンした画像に重ねて加工してもらったため、ねじ穴やピックアップ位置も完璧である。欲を言えば、エッジをもうすこしなめらかに加工したいところであるが、時間のあるときにでも自分でこつこつ仕上げるのも悪くなかろう。

 とりあえず、これで「切れたバックパッド」と「割れたピックガード」という2つの難関を無事くぐり抜けた6122君である。相変わらず音は最高の音を出しているし、メイプルとエボニーのネックは全く安定している。あとは、消えた金メッキの再生に取り掛かるかどうかであるが、資金難のためしばらくは現状維持で行こうと思う。

だいいち、
このギターを持ってステージに立てる日が来るのかどうかさえ怪しいのだから。わたしは「ベーシスト」なのである!
 誰か、
ジョージ役でセッションに混ぜて欲しいoyoyoであった。


2009年11月 「グレッチ君のエスカッション」 の巻

 6月に交換したピックガードとの「色違い」が、ちょっとだけ解消。
 
ピックアップリング(エスカッション)が見つかったのである。
 現在の日本製グレッチの部品ならば、格安で手に入るのは知っているのであるが、なんだかそれでは面白くないので、古い部品で、状態の良いものを見つけてみようと思い、探していた。しかし、見つけようとするとなかなか出てこないのがこの手のものである。
 とりあえず一つだけ、それなりに見栄えの良いものが見つかったので、入手してみた。
 左の画像の色合いを見ていただこう。
 ピックガードの色とまさにマッチングしている。これは完璧。普通、楽器につけたまま長期間使用すれば、上のリングのように赤みが抜けて黄色っぽい色に変色してしまうのである。この部品は60年代頃のモノであるが、色はほとんど抜けていない、いわゆる「デッドストック(未使用品)」であろう。
 
 リアピックアップの方も欲しいところだが、金も無いし見つからないし・・・なので、とりあえずフロントだけを交換してみよう。

 ピックアップリングは周囲の4本のねじでボディトップに止まっている。
 取り外すとこのような光景が。
 ピックアップキャビティーはこのように開けられているが、ホロウボディーなので空洞が見える。ピックアップが留められている木材は、ボディーではなく、ボディー内を縦に通っているブレイシング材である。このようなかなり太ブレイシングが左右にあり、ここにピックアップがねじで直止めされているのである。ハウリングを止めると言う目的もあるのだろうが普通で考えると
こんなに太いブレイシングを表板裏に貼り付けたら、鳴りが悪くなるだろうと思ってしまう。なんという無骨な設計だろうか。
 しかし、これでいい音が出るのであるから不思議である。まさに
「グレッチマジック」である。

 さて、外したものと比べてみよう。
 上がオリジナル。下が入手したものである。
 比べると色の違いがくっきりとする。上のほうは完全に赤味が飛んでしまっている。どうも60年代の楽器では、赤味のとびが一番早いようである。ギブソンでも、あのサンバーストは赤が褪色し、いわゆる「レモンドロップ」色に変色しているものが多いのも、同様な傾向なのだろうか。
 見ての通り、オリジナルのエスカッションでは右上のねじ穴で亀裂が発生しているのだ。私がこのギターを購入したときからこの亀裂があり、接着剤でとめておいたのだが、やはりねじの圧力で分離してしまったのだろう。
 色以外の寸法は寸分たがわぬものなので、すぐに取り付ける。
 グレッチには現在、ミリ規格とインチ規格の部品が混在しているが、
※生産国の違いによるものらしい。日本製はミリ規格。
 今度このエスカッションのサイズも比べてみたいと思う。

 取り付けてみたのがこの画像。
 申し分のない結果である。
 これで、妙に浮いた感じに見えたピックガードも、ずいぶん落ち着いて見えるようになった。
 あとはリア・ピックアップのエスカッションも、気長に探さなければならない。見つかったら「完成」ということで、楽しみに待つとしよう。
 さて、そのリアのエスカッションは、フロントと違う点がある。

 リアのピックアップ直後には、あの「ミュートシステム」が取り付けられているのだが、普通の幅のエスカッションを取り付けると、そのミュートと干渉してしまうのである。
 そこで、オリジナルでは
エスカッションの後端を数ミリ分短く削って加工し、ミュートの逃げを作ってあるのだ。
 なので、もし新しい部品が見つかったとしても、それを少しずつ削って幅にあわせなければ使用できないのである。
 実際に作業することを考えると、やすりで気長にこするのも悪くは無いが、綺麗に仕上げるにはやはり小型のグラインダーなどで削った方が早い気もする。しかし、グラインダーなどを使用すると、素材がやわいだけに勢いで割ってしまうことも十分に考えられる。
 
 実際にやるときにはそんな心配もあるのだな、と思いつつ、これからも気長に部品探しをしようと決意したoyoyoであった。


2011年2月「テネシアンのケースキャンディ」 

 2011年に入手したテネシアン君。
 あまり弾かれないまましまわれていた期間が長かったらしく、塗装などの状態もかなり良好であった。

 このような個体には、新品当時にギターに付随していた保証書や説明書の類、ストラップ、クロス、さらには弦などまでもがケース内に残されている場合がある。米国ではこのようなものを
「ケース・キャンディ」と呼んでいる。
 ちなみになぜ「キャンディ」なのかとたずねてみたが、まあ、「ちょっとご褒美・もらってうれしいおまけ」的ニュアンスで使っているようである。水着美女の写真を「アイ(目)キャンディ」と呼んでいるし(笑)。
 
 1つめは、このきんきらな札である。
 たぶん、楽器店のショールームに陳列されているときに、ヘッドあたりに引っ掛けておくものだろう。
 他社の製品からグレッチのギターへ目をひきつけるためにこのような派手派手な札が必要と感じたのだろう。
 グレッチ社はこういう場合に「色」にこだわる傾向がある。ギター自体を難しい白色/金色にした「ホワイトファルコン」や「ホワイトペンギン」は言うまでも無く、「ジャガータン」に塗られたギターや「ツートンカラー」に塗られたギターが目白押しである。

 2つ目は、「封筒」である。
 表に「ギャランティー(保証書)」と書いてるので、元々はこの中に保証書が入っていたのだろう。 先ほどのキンキラ・タグと同じく、
「ブルックリン・シカゴ」「Since1883」というこだわりの文字が躍る。生産者としての伝統への誇り?がうかがえるのだ。この後、ボールドウィン社に会社を売ってしまい、くだらないギターを生産した挙句、品質低下を起こしてしまう会社とは思えない(爆)。
 ※ちなみに今のグレッチ社は一族がもう一度買い戻した後でフェンダーの子会社的になっている。ギターは日本の寺田楽器が製造中。

 3つめは保証書である。
 通常使用においてなにか問題点が発生した場合は、3年以内ならば無料で修理しますよと言う、良くありがちな保障内容である。
 下には手書きで、モデル番号の6119と言う数字と、このギターのシリアルナンバー64401が書かれていることから、これがこのギターのオリジナルであることが分かる。(当たり前?笑)

 わからなのは真ん中の「MAKE」という欄で、何も書かれていないが、本来何が書かれるのだろう?グレッチが作っているのだから、「製造者」はグレッチに決まっているのだが・・・。

 4つ目は、丸い「エレクトロトーン・ボディ」カードである
 ひもが付いているので、これもボディーあたりにぶら下げられていたのだろう。
 エレクトロトーン・ボディというのは、チェット・アトキンス氏が提案した
「Fホールをふさいでハウリングを出にくくし、ブロックを入れてサスティンを良くして欲しい!」という要求を満たすために作られたものである。たぶんギブソンのES‐335あたりの構造を意識しての提案だろう。
 だが実際には保守的発想を捨てきれないグレッチ社は「そんなのギターじゃない」などと因縁を付け、Fホールはふさいだものの、中身はまったくホローボディーのままだったのである。
 ちなみに、彼らはギブソン社が初めてソリッドボディーの「レス・ポール」を発売したとき、
「天下のギブソンがあんなものを作るなんて・・・あれじゃフェンダーじゃないか!!」
と怒ったそうだ(笑)。その後、時代の波に押され、しぶしぶ「デュオ・ジェット」を作ったもの、どうしてもソリッドボディーにしたくなかったらしく、見た目はレスポールそのものだが、中身は大きくくりぬかれていて実際は「セミ・ホロウ・ボディ」であった(爆)。どこまで保守的なんだろう・・・。

 5枚目は「3NEW」(さんにゅう?笑)カードである。
 当時のグレッチ社が他社に先駆けて採用した機能を、誇らしく謳っている。
1つ目は「スタンバイ・スイッチ」である。
 ボディーの下側に3ポジションのスイッチがあり、弾かない時にはこれを真ん中(ニュートラル)にしておくと音が出ないようになる。アンプの電源を入れたままギターを放置したときのハウリングなどには便利だろうが、実際は、これを入れないまま
「あれ?音が出ねえ!」とかあわてているギタリストを見たりする。
2つ目は「ミュート」である。
 カントリージェントルマンや6120などに採用されている、「スポンジで弦をミュートする機構」であるが、使っている人を見たことがない(笑)。
 ※第一、テネシアンにはこの機構自体搭載されていない。
3つ目は「バック・パッド」である。
 カントリージェントルマンや6120(またか…笑)には、ボディー裏に黒く丸いパッドが装着されているが、コレを見ると「立ったときにギターがずれにくく、バックルなどから塗装を守る」ことが目的だと分かる。実際には、
ミュート機構をボディ内に取り付けるためにボディー裏に穴を開ける必要があり、その穴をふさぐためにプラスティックのふたをつけ、さらにそれを隠すためにパッドが必要だったと・・・正直に言わないか!!正直に!!


6つ目は「OKカード」である。
 製造されたギターは最終的にチェックを受けることになる。
10階建てだった当時のグレッチ・ビルディングの9階に、品質管理の部署があり、そこにDan Duffy氏がいた。
 彼は1956年、24歳のときに入社した。ジャズを勉強していたギタリストで、ちょうどグレッチを使っていたサル・サルバドールの弟子だった。グレッチ社は品質管理をするために若いギタリストが欲しかったので、彼を採用したのである。
 彼は長期にわたりグレッチギターの品質管理を手がけてきた。このOKカードのサインを見ると、上に青いペンで型番6119と、
※途中の項目の部分はチェックすらされていない。たぶん生産本数が爆発的に多くなった1964年であるので、省かれたのだろう。
下に
”Duffy”と名前が書かれているのが分かる。
 もしも仕上がりにおかしな点があれば、すぐに階下にある木工部門、塗装部門、金属パーツ部門にギターが戻され、直される仕組みになっていたのである。当時は彼は32歳。油が乗り切ったところだったろうが、当時を振り返り
「たくさんの品質上の問題が生じたが、とても優秀なスタッフがおり、みんなで問題の解決に取り組んだ。大きな家族みたいだった。」と語っている。

 7枚目は「ハイロ−トロン」カードである。
 グレッチの当時の最近ピックアップはハムバッカータイプの「フィルタートロン」であった。高級機種に搭載され、金メッキされた見た目の豪華さとそのリッチな音色で評判だったのである。
 さて、グレッチの工場内でピックアップを自社生産していたのだが、その中の技師の一人が、フィルタートロンのボビンを一つにし、シングルコイルのピックアップを試作したところ、
※もしかして「コストダウンの指示」でもあったのか?
 出力が低下した分、音色が非常に個性的になり、きらびやかになった。これを会社側も
「いいねえ」と認め、正式採用となったのである。
 このような生まれのため、シングルコイルなのに大きさはハムバッカーと同じ(コストダウンのため?)という不思議な見た目となった。そのスカスカ感を弱めるため、黒いプラの飾りプレートに金の(また出た!)「Gマーク」を印刷したのだが、これがめっぽう落ちやすく、ほとんどのテネシアンでは消えかかっていると思う。

 さらにチープ感を消そうと思ったのだろうか、このような豪華な説明カードを付けたのだろう。ハイロートロンの「よさ」として7点を挙げている。
 1 9つのプリセットトーン
 2 ”ハイ‐ファイ”なフルレンジの音色
 3 ステレオ・シンギング・トーン(訳せん…”立体的に歌う音色”?)
 4 きらびやかな高音域
 5 柔らかで美しい低音域
 6 超近代的スタイル(笑)・・・Gマークのことか?
 7 特別に生き生きしたレスポンス
 
 しかし、内容は、べつにハイロートロンの説明ではなく、ギターのトーンコントロールに関する説明なのだ(笑)。
 簡単に言うと、内容は
 3つのボリュームの説明(マスター・フロント・リア)
 ピックアップセレクターの説明(フロント・ミックス・リア)
 トーンセレクターの説明・・・真ん中がニュートラル(フル10)
 手前が「ディープベース」トーン(トーンを絞った状態)
 後ろが「ミディアム」トーン(トーンを半分絞った状態)
 これを組み合わせて9種類のプリセット音を作れる・・・という、至極当たり前の説明である。
 ただ、チープな設計と仕上がりにもかかわらず、
「音だけは良い」という本質は大切である。
 きっと数ある「ビザールなのに生き残ったギター」というのは、こういう本質だけはしっかりと持っていたに違いない。

 
8枚目は「アクションフローナット」の説明である。
 実際には「0フレット」のことなのだが(笑)。
 説明をみると、0フレットを採用したことにより、ナットの高さがどうであれ、
「フレットレベルでの演奏が可能」と書いてある。確かに、もしも0フレットが他のフレットと同じ高さだったら、そういう説明もあっているかもしれない。しかし、本当にそんなことをしたら・・・ギターはビビリまくりで演奏不能に陥るだろう。実際この0フレットも他のフレットよりも高いのだ。しかしこれも「もう一つのグレッチの革新」と謳ってはばからないのが、グレッチのおおらかで良いところである(笑)。

9つ目、最後は「純正のギタークロス」である(爆)。
 決してきれいとはいえないが、普通使用されれば捨てられてしまうような消耗品である。
 これがちゃんと残っているあたり、「流石USAのアンダー・ベッド・ギター」としか言いようはない(笑)。
 アメリカでは、子供時代にギターを買ったものの、いつの間にか弾かなくなり、そのままの状態でクローゼットに置かれたり、ベッドの下に放り込まれたりしたものも多いらしい。それらが、昨今のヴィンテージギターの価格高騰により、
「そういえば、あのギター、どうしたっけ?」
と持ち主の注意を喚起することになり、発見され、市場に出回ることとなるのだそうだ。
 だから、高価なギターほど、ミント状態で出てくるのは難しいのだ。高ければ忘れることもないし、すぐに売ってしまったり、人に貸してしまい、消耗してしまうからである。
 安いギターなら、買ったまま忘れ去られることも多く、売っても金にならないと思い込み、そのままクローゼット内に40年間放置・・・などということが起きるのだ。
 カントリー・ジェントルマンのミントなどは全く出てこず、逆に半額のテネシアンがミントで発見されたりするのはこの理由からなのだろう。
 どちらも、現在の日本では考えられないことであるが。
「そういえば、押入れにたしか子供のときに買ったTEISCOが・・・」
なんて話、ギターが「不良のアイテム」だった日本では考えられませんね・・・。残念。


2011年2月「カントリージェントルマン復活」 

 テネシアン君をリペアしていただいたショップの方が、「また何かあったらご相談ください」と言って下さったのを良いことに(笑)、
気になっていたカントリージェントルマン君の「ネック起き」を見ていただくことにした。
 グレッチはもともとネックの構造がいい加減で(笑)、ネックポケットは
隙間だらけなままジョイントされているのだ。
 それがグレッチらしさと言ってしまえばそれまでだが、これがギブソンだったら許されないであろうというレベルまでさまざまである。
 かくいう私の愛器ジェントルマン君も、ネックジョイント部分からの「元起き」らしき現象が発生しており、普通に弾けるレベルまで弦高を下げたらもう一杯一杯と言う状態に…。
 また、ネックヒール部にあるセル(バインディング)がはがれかかり隙間ができた状態。このままだといつかは剥がれ落ちるに相違ない。

 これではイカンということで、早速そのショップに送ってみたのだ。
(まさか連続2本グレッチを修理に出すとは思いもよらなんだ)
症状をチェックしていただいたのが以下の項目。

@ネック全体が元起きしている気がする。
 →若干起きていますが、軽度の方です。ネックアイロン修正
A差し込み角が浅くなり、弦高が下げられない。  
 →おそらく、最初から角度不良の楽器なので、ネックが動いて角度が変わったのではないと思われます。
Bヒール部分のセルが浮いている。
 →縮みなので接着だけします。


 こんな内容で修理を依頼。
 ほぼ3日間で終了のメール。速い!!

「〜アイロン修正が効いているので、ネック全体の流れは「逆反り」ですが、特にビリつきも出ていないので現状がベストだと思います。
@ネックアイロン調整
 >ジョイント辺りから逆反り方向に曲げています。
Aブリッジ台座の成形
 >成形しましたが、元々かけている部分はそこまで削り合わせると薄すぎるのでそのまま残します。
Bセルの接着
 >ヒールのセルは縮みによる剥がれなので、段差は残りますが接着してあります。
Cブリッジの当たり部分の成形
 >溝は多少ですが、オクターブに合わせずらしています。」


 なんと丁寧な話だろうか。
 私が気にも留めていなかったオクターブ調整にまで気を配り、
(※バーブリッジにオクターブ調整などありゃしないと先入観で決め付けていた…。青いな…。)
丁寧に仕上げていただいたのだ。

 さて、届いた楽器を早速チェック。

 今まで、弦の響きが死んでいると言うか、響きがビグスビーユニット方向に逃げているような感じだったのだが、それがしっかりと「鳴っている」のだ。
 ネックは言われたとおり「逆反り」方向に流れているが、弦はビビることもなく、現状のブリッジでは一番低い弦高まで下げても問題ないレベルになった。

 ちょっと浮いていたヒールのセルもしっかりと着けられた。ほんのわずかな段差はあるが、これはセルが少し縮んだためなので仕方がない。私はネックのジョイントが緩んできて動いてしまったのだと思っていた。

 それにしても気になるのは、
「もとからネック仕込みの角度が不良」
という診断である(笑)。

 グレッチが「大雑把なつくり」をしているのはわかってはいたが、
 ネックの仕込み角度まで個体差が大きいとは思っていなかった。
 最低基準・・・みたいなものがなかったのだろうか・・・なかったんだろうな(笑)。
 きっと「目見当」で職人さんが仕込み、
 品質管理部門の人がパパッと弾いて、
「う〜ん、大丈夫。OK牧場。」
 みたいな感じであの「OKカード」にチェックを・・・おおコワイ。
 生き返らせることができてほっとしている。

 今後もお付き合いいただきたいショップである。
 まだまだ私の手元には、
 フレット交換が必要になるであろうSGやカジノ、
 一昨年ネックアイロンで立ち直ったが、ブリッジが浮き始めているJ50など、
「入院加療」を要する楽器が目白押しなのであるから。
 これからも、年に一本くらいは手入れを施し、
 快適な楽器環境を整えていきたいと思うOYOYOであった。


2019年1月「6122金メッキ復活」 

 1994年に入手して以来、私のジェントルマン君は金メッキが全て落ちた状態で
(あるいは元の持ち主が意図的に落としたのか?くらいきれいに落ちている)
使用してきたが、令和に改元が迫った今年、いい機会なので、再メッキをしてみようと思い立ったのである。
 
 そのきっかけとなったのが、まだ金色を残している60年代のビグスビーを格安入手したことにある。
 こいつばかりは、メッキしようにも分解が大変だし、デカいアルミキャストのために金もかかりそうだとあきらめていたのだ。かといって、リイシューのビグスビーはオリジナルと違いが多くて雰囲気が台無しになってしまう。そんなときに、この65年?と思われる部品をアメリカで発見。さすが本拠地はポテンシャルが違うww

さっそく、金を載せたいペグ、ブリッジ、ブッシュ類、スイッチの頭、などを再メッキに出す。
 帰ってきたのが上の写真である。見事に金ぴか。
 ピックアップのカバーとポールピース、ボリュームノブは、オリジナルに戻すときに困りそうなので、やむなく再生産の金メッキものを入手した。


 帰ってきた部品をジェントルマンに組み込む。

 いやあ、思いのほかゴージャスな感じに(笑)

 しかし、これで
「テネシアン風」だったカントリージェントルマンが、しっかりと上位機種の雰囲気をたたえることになり、うれしい限りである。

 また、さび錆だったポールピースを新品に変えたら、ピックアップの反応が非常に良くなり、出音までクリアーになったのには驚いた。
やはり電機や磁石の部分は錆びていない方が良いに決まってるよなあ、と再認識。

 ということで、
 1962年に生まれてから57年目にして、
生まれた当時の色気を取り戻したグレッチ・カントリージェントルマン君(笑)

 今後は、ネックのおかしな仕込み角や、亀裂が入り始めたバインディングなど、さらに困難が立ちふさがっていくと思う。それも乗り越えて、100歳の王台まで、現役で頑張ってほしいと願うばかりである。
 
オールドギターのオーナーは、いわば「伝達者」である。
 自分の代で終わりではなく、次の世代に、なるべく良い状態で、楽器を引き渡す、その橋渡し役でもあるのだ。
その気概がないならば、再生産品を買って弾けばよいのだ。
 
楽器は使える文化財。私はそう考えている。
 そう、私はいわば「ひとり文化庁」でもあるのだ(笑)!!