2015年3月「ポールの1961年型Hofner500/1に関する一考察」 

今年初めての更新である。

Facebook上で交わされた情報だが、記録のためにこちらに書いておこうと思う。

ポールの1本目の500/1に関する一考察である。
以前から、
「ポールの一本目のヘフナーには『ボディ・ロゴ』があったのか、無かったのか?」
については色々な意見があった。

 ←参考までに…私の1号機のボディ・ロゴ。

 まあ、まとめるとつぎの2つの立場である。
@あのベースは左用の特注品だから、わざわざ見えなくなるロゴを貼る必要なかっただろう
 =「ロゴなし」
Aボディーは組み立てられるまでに塗装までされた状態で保管されており、左用の注文を受けた後で、コントロールキャビティの穴をあけたのだ。1961年にはボディロゴは標準だったのだから…
 =「ロゴ有り」

この二者である。
本物が1969年にアビーロードスタジオから盗難されて以来、発見されていないし、
1964年にリフィニッシュされてしまったので、有ったとしてももう削られた後なのだから、
今更確認するすべも無かったのである。
今回、この写真がヒントとなることになった。

1962年ごろのビートルズの写真である。コンサートか録音の時だろうか、シールドを持っている珍しい写真だ。

このポールの抱えている1961年型を拡大してみると…
 赤い矢印の部分を見てほしい。
 ピックガードの下に、なにかが見えている。
 ガードの下にあるので、傷がつく場所ではないし、光の反射とも考えにくい。

 そして、位置を上の写真と比較して欲しい。
 位置がドンピシャである。
 そして丸い形も共通している。
 このような状況証拠をかんがみるに、これはきっと
「Hのしっぽ」に違いない(笑)。

 ということで、今回、かなりの確率で、
「ポール御大の61年型500/1には、ボディ・ロゴがあった。」
という結論にたどり着いたのである。

 長年の謎にようやく終止符が?打たれたような気持ちになり、
思わずこんな形で書き記してしまった。
 だからどうした?的な内容であるが、
 ビートルズ楽器マニアにとってはこれはオオキナ一歩なのである!(きっぱり)。
 
 こんな写真に目を付けた方に心から敬意を表したい。



 さて、もう一つ、私が長年謎に思っていることが、この1961年型にはあるのだ。
 ついでなのでこれも書いておこう。
 
 この写真は有名な
「演奏中に壊れたリンゴのキックペダルを直すマル・エバンス」
の写真である。
アンプがAC100なので、64年〜65年前半のライブと思われる。
なかなかほほえましい写真であるが、
このポールのAC100の後ろに立てかけられて居るのは、
@ネックの色が白く見えることと、
Aヒールの形状および黒い色
Bピックアップリングがボディ真ん中に見える
以上から判断して、
1961年型をリフィニッシュしたものと思われる。
ライブの時には、当時必ずバックアップとして、
このようにステージに置かれてたのだが、
なかなかボディ裏が写った写真は少ない。

 この貴重な瞬間の写真も、
拡大してみると、ちょっと不思議な感じがするのだ。




←よく見てみよう。

 ボディ裏のトラ目までよく映っているが、
 このボディーバックは膨らんでいるように見えるのである。

 写真の写りがいまいちなので、これだけでは何とも言えないが、
 ボディーの向う側のエッジや、バーストの黒い色が全く見えないのだ。
 
 もしも全くの「フラットバック」であれば、
 もう少しボディー全体の形や、向う側の「塗り直したバースト」
 が見えてもいい角度であると思う。
 
 光線の関係などもあるだろうから断定はできないが、
今後他の写真が発見されたりすれば、明らかになる日もあるだろう。

 同じく、ポール御大のヘフナーのトップは単板だったか、ラミネートだったかも、
製造された時期がちょうど両者が混在して使われた時期なので、実は不明なのだ。

実際には本物君が行方不明である以上、
誰も
「絶対にフラットバックであった」と言い切れる人はいないのが、
 2015年時点での事実なのである。いつか解明される日を、楽しみに待ちたいものである。