2011年12月その2「Rickenbacker4001sピックアップカバー交換(笑)」 

先日360/12に載せた65年製のピックアップ
内部のボビンだけを移植することになり、貴重な「カバー」だけが余ってしまった。
しかし、これもしっかり有効利用したい。

ということで、
1964年式リッケンバッカー4001s君(ローズモーリス1999)のフロントピックアップに再利用することにした。

左が久しぶりにみる4001の内臓である。

何度見ても、フロントキャビティーに行く部分のドリリング跡が生々しい。
ルーターを使わず、ドリルを10回連続で打ち込むことで、リード線用の道を開削するという、トンネル工事すら彷彿とさせるなんとも
男らしいやり方である。

青いコンデンサーはこの年代のリッケンの定番である。
リアのローカットコンデンサーは外されているので、
白いリード線が付け加えられている。
ピックガード割れ防止のテープがかっこいい(笑)。

 さて、まずフロントピックアップをポットから外し、
 ピックアップのリアカバー(アルミ製)を取り外す。

 このカバーの左右の2本のねじで、ピックアップ本体をつりさげているのだが、
私の4001君は、このねじを紛失でもしたのだろうか、
左右全く違うねじで吊られていたのだ。
(片方は+の木ねじ。片方がマイナスの純正より太いねじ。)

入手した65年のピックアップに正しい吊りねじ」が4本付随してきたので使いたいのだが、上記の理由でこのリアカバー自体も取り替えないと交換できないのである。

さて、無事にリアカバーを外せたら、65年の方のリアカバーと、メッキもまだきれいなフロントカバーでボビンを挟み、4すみのねじを締める。
・・・これでピックアップ本体の加工は終了。簡単。
ポットにリード線をつなぎ直し、ピックガードにピックアップ本体を吊るす。
 この時に、今までなかったクッション用に黒いゴム輪を挟み込んだ。
(リッケン特有の、ピックガードのスペーサーにも使われるあの黒いゴム輪である。)
これで少しは振動の吸収になるに違いない。

正しいねじ、そして、まだきれいなクロームメッキの姿に生まれ変わった4001君。うれしそうである。


ついでに、今までとっていなかったコントロールキャビティー内の画像を撮影。
この画像である。

サインペンで書かれたモデル名。

4000と書いてあるが、実際にはどのモデルになるかは最終段階まで分からないので、4000型でも4001型でも構わず4000と記していたそうである。
※実際、4000型(フロントピックアップが無いタイプ)でもフロントキャビティーだけは掘られているらしい。そこで、ヴィンテージギター市場には、自分でピックアップを増設した
「偽4001」も多々流通したらしい。人気者には必ず偽物ができるのは世の常である。
 「-I」と付け加えられているのは、その週のバッチ(何本かのギターやベースをまとめて造る場合、そのひと固まりをバッチと呼ぶ)がIグループだったことを示すのだそうな。

左の壁に立てに引かれたサインペンは、それぞれ誰が作業・検査を行ったのかを示すマーキングだそうな。
当時、5〜60人程の作業員がリッケンバッカーの工場で働いていたそうであるが、
このように最終チェックをしたり、セル欠き(塗装した後にバインディングの部分の塗装を落とすこと)したりできる責任者は5〜6人であったそうな。

そういう各工程の最終責任者の「サイン」がここにひかれているのだそうだ。う〜ん。興味深い。
※情報源はリッケンで働いていたDr.Quist氏。いつもありがとうです。

さて、見た目が生まれ変わった4001君であるが、
アンプに通して音だししてみたら、実は
音まで生まれ変わったのである。
不思議な話だが、フロントピックアップの出力が大きくなり、音像がくっきりした。
いつもトーンポット半戻し程度で音作りしていたが、それでもかなりくっきりした輪郭が聞こえるようになった。
理由として考えられるのが…
@はんだ付けをし直したせいで信号の通りがよくなった。
Aピックアップの固定がよくなったので、弦の振動の拾いがよくなった。
Bセレクタースイッチを「接点洗浄」したので信号の通りがよくなった。
以上のうちのいくつかが複合して起きたのであろう。
やはり、たまには自分のギターの内臓も、
放置せずに手を入れてやるのがよいのである。