2011年2月その3 「カントリージェントルマン復活」 

 テネシアン君をリペアしていただいたショップの方が、「また何かあったらご相談ください」と言って下さったのを良いことに(笑)、
気になっていたカントリージェントルマン君の「ネック起き」を見ていただくことにした。
 グレッチはもともとネックの構造がいい加減で(笑)、ネックポケットは
隙間だらけなままジョイントされているのだ。
 それがグレッチらしさと言ってしまえばそれまでだが、これがギブソンだったら許されないであろうというレベルまでさまざまである。
 かくいう私の愛器ジェントルマン君も、ネックジョイント部分からの「元起き」らしき現象が発生しており、普通に弾けるレベルまで弦高を下げたらもう一杯一杯と言う状態に…。
 また、ネックヒール部にあるセル(バインディング)がはがれかかり隙間ができた状態。このままだといつかは剥がれ落ちるに相違ない。

 これではイカンということで、早速そのショップに送ってみたのだ。
(まさか連続2本グレッチを修理に出すとは思いもよらなんだ)
症状をチェックしていただいたのが以下の項目。

@ネック全体が元起きしている気がする。
 →若干起きていますが、軽度の方です。ネックアイロン修正
A差し込み角が浅くなり、弦高が下げられない。  
 →おそらく、最初から角度不良の楽器なので、ネックが動いて角度が変わったのではないと思われます。
Bヒール部分のセルが浮いている。
 →縮みなので接着だけします。


 こんな内容で修理を依頼。
 ほぼ3日間で終了のメール。速い!!

「〜アイロン修正が効いているので、ネック全体の流れは「逆反り」ですが、特にビリつきも出ていないので現状がベストだと思います。
@ネックアイロン調整
 >ジョイント辺りから逆反り方向に曲げています。
Aブリッジ台座の成形
 >成形しましたが、元々かけている部分はそこまで削り合わせると薄すぎるのでそのまま残します。
Bセルの接着
 >ヒールのセルは縮みによる剥がれなので、段差は残りますが接着してあります。
Cブリッジの当たり部分の成形
 >溝は多少ですが、オクターブに合わせずらしています。」


 なんと丁寧な話だろうか。
 私が気にも留めていなかったオクターブ調整にまで気を配り、
(※バーブリッジにオクターブ調整などありゃしないと先入観で決め付けていた…。青いな…。)
丁寧に仕上げていただいたのだ。

 さて、届いた楽器を早速チェック。

 今まで、弦の響きが死んでいると言うか、響きがビグスビーユニット方向に逃げているような感じだったのだが、それがしっかりと「鳴っている」のだ。
 ネックは言われたとおり「逆反り」方向に流れているが、弦はビビることもなく、現状のブリッジでは一番低い弦高まで下げても問題ないレベルになった。

 ちょっと浮いていたヒールのセルもしっかりと着けられた。ほんのわずかな段差はあるが、これはセルが少し縮んだためなので仕方がない。私はネックのジョイントが緩んできて動いてしまったのだと思っていた。

 それにしても気になるのは、
「もとからネック仕込みの角度が不良」
という診断である(笑)。

 グレッチが「大雑把なつくり」をしているのはわかってはいたが、
 ネックの仕込み角度まで個体差が大きいとは思っていなかった。
 最低基準・・・みたいなものがなかったのだろうか・・・なかったんだろうな(笑)。
 きっと「目見当」で職人さんが仕込み、
 品質管理部門の人がパパッと弾いて、
「う〜ん、大丈夫。OK牧場。」
 みたいな感じであの「OKカード」にチェックを・・・おおコワイ。
 生き返らせることができてほっとしている。

 今後もお付き合いいただきたいショップである。
 まだまだ私の手元には、
 フレット交換が必要になるであろうSGやカジノ、
 一昨年ネックアイロンで立ち直ったが、ブリッジが浮き始めているJ50など、
「入院加療」を要する楽器が目白押しなのであるから。
 これからも、年に一本くらいは手入れを施し、
 快適な楽器環境を整えていきたいと思うOYOYOであった。